第二章 体育祭〜職場体験 | ナノ


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準決勝の第1試合は轟と委員長。
恐らく今戦っているところだろう。

その次はいよいよ私の試合だ。
控え室で待機していると、ガチャッとドアが開いた。



切島「風花!」

上鳴「よっ」

名前「あっ、切島に上鳴!てか切島、大丈夫!?」

切島「おう、このくらいどうって事ねえ!」



やって来たのは切島と上鳴だ。

切島の頭には包帯が痛々しく巻かれている。
どれだけ激しい攻防だったのかがそれだけで伝わってきた。



上鳴「次、爆豪とっしょ?今までみたいに吹っ飛ばしてこいって!」

切島「ああ、応援してっからよ!仲直りもできるといいな!」

名前「2人とも……本当にありがとう」



どうやらわざわざエールを送りに来てくれたらしい。

きっと委員長と轟の試合も見たいはずなのに、本当になんて優しいのだろう。
おかげで少しだけ緊張が解れた気がする。

笑顔で頷けば、切島にわしゃわしゃと頭を撫でられた。


すると、会場の歓声が一際大きくなり、拍手も聞こえてきた。



切島「……お?終わったか」

名前「そうみたい。……よし!行ってくる!!」

上鳴「頑張れよ!俺らも客席で見てっから!」

名前「うん、ありがとう!」



笑顔で送り出してくれた2人に感謝し、手を振って私は控え室から出る。

少し廊下を歩くと、前の方から見覚えのある紅白頭が歩いてきた。



名前「あっ、轟!お疲れ様!どうだった?」

轟「風花か。勝った」



そう言った轟は、やはり前よりもすっきりとした顔つきになっている気がする。



名前「えっ、すごい!決勝じゃん、おめでとう!」



どうやら委員長vs轟の試合を制したのは轟だったようだ。
見たかったなぁ〜!

パチパチと拍手を送るが、轟は私の目をじっと見つめていた。
な、なんだ……?



名前「……ど、どうしたの?私の顔に何かついてる?」

轟「……お前この間、俺が苦しそうだって言ったよな」

名前「う、うん……?」



そういえば、そんな事を言った気がする。
何も聞かないのかと聞かれて、轟が苦しそうだから聞かないって答えたんだっけ。

だけど、どうして今そんな事を……?



轟「……どうしてお前にはわかっちまうのか、あの時は不思議だったが……今ならそれがわかる」

名前「うん?」

轟「今のお前は、苦しそうだ。一体何に追い詰められてんだ?」



そう言われて、ドクリと心臓が跳ねた。

追い詰められてる……私が?
そんな……そんなことは。



名前「……別に何もないよ、大丈夫」

轟「……言いたくねえならいい。だがクラスの連中は皆お前のことを心配してる」

名前「えっ……」




響香と切島と上鳴にしか打ち明けていないはずなのに。

そんなにわかりやすかったのか、私は。
まさか、皆に心配かけていたなんて……。

悔しくて申し訳なくて、ああ私は本当に駄目だ。
思わずギュッと拳を握りしめた。



轟「……引き止めちまって悪かった」

名前「……ううん。なんかごめんね、もしかして轟にも心配かけちゃってた?」

轟「いや……俺は、」



そう言いかけて、一瞬口を閉じる轟。

なんだか彼の瞳に吸い込まれてしまいそうで、私はじっと彼を見ていた。



轟「……俺は、今のお前の……消えちまいそうな笑顔を見たくねぇだけだ」



それだけ言うと、轟は踵を返してその場から去っていってしまった。

消えちまいそうな笑顔、って……。
なんだかその言葉がグサリと胸に刺さった。

ちゃんと笑えてなかったんだ、と。
私は、どんな時でも笑顔でいなきゃいけないのに。
あの子たちのために。



名前「……っ、集中しなきゃ」



パンッと両頬を叩き、私は再びフィールドへと向かった。


──── そして。



《準決勝二戦目!なんと、幼馴染同士の対決だァ!ここまでお互い圧倒的な戦闘センスで勝ち上がってきた、爆豪 VS 風花!!》



今日で3度目のフィールドに立つ。
そんな私と対峙するのは勝己である。

勝己と戦うのは、これが初めてだ。



ミッドナイト「2人とも、用意はいい?」



勝己から目を逸らさずに、ミッドナイトの言葉に頷く。
勝己もまた、私を睨みつけていた。

……そして、いよいよ。



ミッドナイト「スタート!!!」



──── ドォォォォンッ……!!!


ミッドナイトの声が会場に響き渡る。

それとほぼ同時に、勝己の爆破による爆風と、私の放った強風がぶつかり合った……。


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