第二章 体育祭〜職場体験 | ナノ


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第6試合は常闇vsヤオモモ。
この試合は常闇の圧勝で、次の私の対戦相手は彼に決まった。


第7試合は切島vs鉄哲。
個性ダダかぶりの熱い対決は実力も同じだったようで両者ダウン。
2人が目覚めたら腕相撲などで決着をつけるらしい。


そして第8試合はお茶子vs勝己。
ボロボロになりながらも必死で食らいつくお茶子の姿は、まるで出久のようだった。

そして勝己は、そんなお茶子を認めた。
勝己は人の名前を覚えず適当にあだ名を付けて呼ぶ癖があるのだが、そんな彼がお茶子を「麗日」と呼んだのだ。
結果的にはキャパオーバーでお茶子が倒れてしまったが、物凄くいい試合だったと思う。



そして、2回戦が始まった。

第1試合は轟vs出久。
出久が轟に、左を使わせた。

体をボロボロにしながらも、「君の力じゃないか!」と叫んだ出久。

自分の左側が憎いと、エンデヴァーの力が憎いと轟は出久に言っていた。
しかし轟の閉ざされた心を、出久はぶち破ったのだ。
轟が持っているのはエンデヴァーの力ではなく、轟の力だと。

そこからの轟は、冷たい表情ではなく闘魂に火が付いたような表情になった。
まるで、忘れていた何かを思い出したかのように……。

結果は轟の勝利。
だけど彼の顔付きが変わったのは、出久の影響がとても大きかったのだと思う。
何だか以前よりもすっきりとしたような表情に見えた。


第2試合は委員長vs塩崎。
この試合では委員長のレシプロバーストが炸裂した。
あっという間に塩崎を場外へ押し出してしまい、結果は委員長の勝利。



そして第3試合。
いよいよ私と常闇の試合だ。



《一対一なら最強なんじゃね!?常闇! VS 意外と武闘派!唯一残った女子、風花!!》



1回戦と同じように、アナウンスと共に入場してフィールドに入る。


常闇に遠距離攻撃はダメだ、ダークシャドウに防がれてしまう。

彼が近距離戦が苦手らしいということは、戦闘訓練の時に何となくではあるが悟っている。
肉弾戦に持ち込んでから、最後に投げ飛ばすか風で吹っ飛ばすのが最善だろう。



ミッドナイト「スタート!!!」



その言葉が聞こえた瞬間に私は強風を体に纏い、一気に常闇との距離を縮めた。
そして次の瞬間には蹴りを常闇に向かって繰り出す。

惜しくもそれはダークシャドウによって防がれた。

だが一発目は防がれる前提の攻撃だ。
これはダークシャドウが防御に出るように仕向けるため。
ダークシャドウに攻撃の隙を与える前にどんどんこちらから攻撃をして、彼との間合いを詰める作戦だ。

蹴りと突き、手刀を休まずに繰り返せば、じりじりとその距離は縮まっていく。


……よし、今だ!!



名前「よいしょーーーっ!!!」

常闇「っ、!!?」



常闇の懐に踏み込んだ瞬間に彼の体を風で包み、一気に場外へと吹き飛ばす。

彼の体は軽々と吹っ飛んでいった。



ミッドナイト「常闇君場外!風花さん、3回戦進出!!」



ドッとその場が歓声に包まれる。

お互いに礼をして、私達はフィールドを去った。



次の試合は切島と勝己。
勝った方が私と戦うことになる。

私は急いで観客席へと戻った。



名前「……って、あれ!?出久!?」

緑谷「あ、名前ちゃん!3回戦進出おめでとう!」



席に戻る途中で遭遇したのは出久だ。

さっきは酷い怪我で気絶してしまったはずだけど、もう起きていたのか。



名前「ありがとう!てかその怪我大丈夫!?また派手にやったねえ」

緑谷「うん、大丈夫!結構怒られたけど……」



出久は入学してから何度も体を壊しているし、保健室の常連になりつつある。
リカバリーガールが怒るのも当然だ。

しかし私も出久も、勝己と切島の試合が見たいのは同じようで自然と視線はフィールドへと向く。

フィールドでは勝己へ猛攻撃する切島の姿があった。
すごい、切島が押してる……!?



緑谷「あのかっちゃんが防戦に……?切島君の個性はシンプルだけど、それ故に強い……!」

飯田「緑谷君!風花君も!」



出久のブツブツ久しぶりに聞いたなーと思っていると、後ろから声をかけられる。

やってきたのは委員長だ。

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