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──── 最終種目はトーナメント形式での一対一バトル。
1回戦の第1試合は出久vs心操人使。
どうやら心操の個性は洗脳らしい。
その洗脳に出久は一度はかかってしまったものの、何とかその状況をひっくり返して2回戦へと進出した。
第2試合は轟vs瀬呂。
何やらイラついている様子の轟は一瞬で瀬呂を氷漬けにしてしまい、圧勝だった。
第3試合は上鳴vs塩崎。
上鳴の電流の方が有利かと思っていたが、塩崎という女の子のツルという個性で上鳴は瞬殺されてしまう。
第4試合の委員長vs発目は、発目が翻弄したあと自ら場外に出て委員長が勝利。
どうやら彼女の目的は自分の作ったサポートアイテムを企業に披露することだったらしい。
委員長は勝ったものの、完全に彼女のおもちゃにされていた。
そして、第5試合。
いよいよ私と青山の対決である。
《第5試合!腰にベルトがあっても変身しねーぞ!ヒーロー科、青山優雅! VS パワープレー美少女!ヒーロー科、風花名前!》
いやパワープレー美少女てなんやねん。
あれか、第1種目で仮装敵を吹っ飛ばしたからか?
プレゼントマイクのアナウンスに内心ツッコミを入れながらも、私はフィールドに立つ。
青山は、確かベルトからレーザーを放つ個性のはず。
私と同じく遠距離攻撃の個性だ。
私も遠距離で戦うか、それとも近距離の肉弾戦に持ち込むか……。
どちらにせよこのフィールドには遮蔽物が無いため、レーザーを正確に避けなければならない。
《さあ、いってみようか!!第5試合、スタートッ!!!》
青山「先手必勝〜!!」
名前「うおわっ、と!!」
試合がスタートするなり真っ直ぐに私を狙ってくる青いレーザー。
危ない危ない。
次々と撃たれるレーザーを私は的確に避けていく。
このまま私を攻撃し続けてくれれば、それは完全に私の思うツボだ。
確か青山は、1秒以上レーザーを出すとお腹を壊すとか言っていたのを耳にしたことがある。
それにもう顔が辛そうに見えるし、恐らく長期戦は苦手なのだろう。
このまま避け続けて彼が疲れきった所を狙うか、それとも彼が痺れを切らしてレーザーを1秒以上出した所を狙うか。
どちらに転んでも、それは私の勝ちを意味する。
……そして、その時は意外にも早くやってきた。
青山「しつ、こい!!」
来た!!長時間レーザーだ!!
どうやら青山は痺れを切らしたようで動き回る私に向かってレーザーを発射し続けた。
しかしその攻撃は5秒と持たずに止み、青山はお腹が痛いのか顔を青ざめさせていた。
青山「お、お腹が……!」
名前「待ってたよ、この時を!!!」
その瞬間私の目の前に現れるのは大きな竜巻。
と言ってもかなり加減をしたので第1種目の時よりは弱いけれど。
竜巻を発生させて攻撃するとなると、どうしても2、3秒かかってしまって隙ができる。
その時にレーザーに当たるわけにはいかなかったので、彼がレーザーを出せなくなるのを待っていたのだ。
竜巻は物凄い勢いで青山に向かって突っ込んでいく。
お腹を壊して動きが鈍くなった彼が避けられるはずもなく、彼は簡単に竜巻に飲み込まれてしまった。
青山「ひゃあああああ〜〜〜!!!」
そしてそのまま吹っ飛ばされて、彼の体は場外へ落ちた。
どうやら失神してしまっているらしい。
やべっ、やりすぎた!?
ミッドナイト「青山君失神、場外!!2回戦進出、風花さん!!」
名前「うわあ青山ごめんーーーっ!!!」
慌てて倒れている彼に駆け寄るが、完全に泡を吹いて気絶していた。
やばいやばい、大丈夫かこれ!?
名前「ひええええミッドナイトぉぉぉぉ〜〜〜!!!」
ミッドナイト「大丈夫、気絶してるだけよ」
名前「そ、そうですか!?よかったあああ〜〜〜っ」
《青山失神&場外!!風花名前、文句無しの快勝だー!なのになぜかパニック、どうしたー!?》
救急ロボットがやって来て青山を運んでいく。
マジでごめんよ、青山……。
人に向かって使うことはあんまりないから、どのくらい加減すればいいかわからなかったんだ。
歓声を背中に受けながら、私は安堵の溜息を吐いて控え室へと戻るのだった。
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