第二章 体育祭〜職場体験 | ナノ


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切島「待て!待てって!!勝手すな爆豪!!」

名前「っ、く!!」



先程の酸性雨のせいで一気に減ってしまった体力を振り絞り、何とか風で勝己の体を覆った。

しかし、



物間「円場、ガード!!」



円場と呼ばれた前馬の男子が息を吸い込み、何かを吐き出した。

するとまるでそこに透明な壁ができたように、勝己の体は見えない何かにぶつかってしまう。

やばい、勝己が落ちる!!
勝己が地面に落ちれば私達はアウトだ。

何とか落ちないように彼の体を浮かせて支えるような風を送る。
私の体力は残り僅かで、おまけに勝己とは結構距離が離れてしまった。
彼をターゲッティングするには最悪の状況だ。


だけど勝己なら、ここで絶対に諦めない。
だから私も諦めない!!!



名前「うっ、重、い……!」

切島「頼む、耐えてくれ風花!!」

名前「もち、ろん……大丈夫!!!」



勝己ならきっと、私達の期待に応えてくれるから。

だから私も、全力で彼を支えるんだ。



爆豪「うらあああああっ!!!」



その刹那、勝己が見えない壁をぶっ壊したらしく、物間に手が届いた!

彼の手はそのままハチマキを2本掴む。



名前「っ、瀬呂!ごめんお願い!!」

瀬呂「おう!!」



瀬呂のテープが瞬時に勝己の体へと巻き付き、勝己の体は地面に落ちることなくこちらへ戻ってきた。

危ない、間に合った!!

ハチマキを2本も取り返した事で私達のチームのポイントは695Pとなり一気に3位まで順位が戻る。



瀬呂「ったく、飛ぶ時は言えって!」

切島「でもこれで通過は確実!」

爆豪「まだだ!!完膚無きまでの1位なんだよ、取るのは!!」

切島「いてっ、痛えって!」



相当頭にきているようで、勝己はキレながら切島の頭をバシバシと叩いている。

かなり強く叩かれているのに頭を硬化しないのは切島の優しさだろうか。



爆豪「さっきの俺単騎じゃ踏ん張りが効かねえ!行け!!俺らのポイントも取り返して、1000万へ行く!!」



やる気に満ちた勝己の顔。
勝己の言葉に、私と切島と瀬呂は不敵に笑った。

そこからさらに私達の反撃は始まった。



爆豪「醤油顔!!テープ!!」

瀬呂「瀬呂な!!」



瀬呂のテープは物間達を越え、遠くへと貼り付けられた。



爆豪「おいクソ女!!まだいけるか!?」

名前「っ、当たり前!!」



力を振り絞って風を出し、私達の体を前に押し出す。

瀬呂のテープのおかげで推進力が高まっているのがすごくありがたい。

そして勝己が両手を爆破させ、一気に私達は物間達との距離を縮めた。
円場がまた見えない壁を生成したが勝己の腕がそれを突き破る。
そして物間の首に掛けられていた残りのハチマキをむしり取った。

やった!!取り返した!!



《爆豪容赦無し!やるなら徹底!彼はあれだな、完璧主義だな!!さあさあ時間ももう僅か!!》



土壇場での逆転劇だ。

プレゼント・マイクの実況と共に、会場内は大きな歓声に包まれた。



爆豪「次!!デクと轟の所だ!!」



勝己の視線の先は氷で覆われており、その先は見えない。
恐らく他のチームの侵入を防ぐため、轟が自ら氷でフィールドを作ったのだろう。

しかし勝己はその氷をものともせずに爆破で破壊する。

そして両手を連続で爆破させ、空中へと飛び上がった。



爆豪「クソデクーーーーッ!!!!」

切島「爆豪!!」



勝己の狙いは出久のようだ。

しかし途中で轟が1000万をまだ所持していることに気づいたらしい。

出久も取り返すためか、必死に轟に手を伸ばす。



緑谷「うらああああっ!!!」

爆豪「半分野郎ーーーっ!!!」



二人に攻め込まれる中、轟が氷の武器を構える。
迎え撃つつもりだ。

そして二人の手が伸びて ────



《タイムアップ!!!第二種目、騎馬戦終了ーーーっ!!!》



その手は届くことなく、試合終了の宣言が響いた。

行き場を失った勝己の体はドサッと顔から地面に落ちる。



瀬呂「爆豪ー!」

切島「平気かお前!」

名前「勝己!!」



私達は落ちた勝己に慌てて駆け寄った。

勝己は悔しそうに唸り、地面を叩いている。
どうやら無事のようだ。

彼の無事を確認した瞬間、一気に体の力が抜けて私はその場にへたり込んだ。


そして私達のチームは2位という結果に終わったのである。

私はというと、ほぼ体力を使い切ってしまったせいで切島に支えられながら何とか立っていた。



名前「ごめん切島、ありがとう……」

切島「気にすんなって!それよりナイスアシストだったぜ、風花!」

名前「いやいや、切島と瀬呂こそ!でももう少しだったのになぁ……」

瀬呂「ま、2位なら上々だって。結果オーライ!」

切島「……そんな事思うかよ、アイツが」



そう言った切島の視線の先には、「だァーーーーッ」と叫んで悔しがっている勝己の姿。

信じられないくらいの負けず嫌いだから、相当悔しいのだろう。


そうして私達は、無事に最終種目へと駒を進めたのであった。

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