第二章 体育祭〜職場体験 | ナノ


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──── その時間はすぐにやってきた。


《雄英体育祭!!ヒーローの卵たちが我こそはとシノギを削る年に一度の大バトル!!どうせてめーらアレだろコイツらだろ!?敵の襲撃を受けたにも拘らず、鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!ヒーロー科、一年!!A組だろぉぉ!?》



プレゼントマイクの声が会場中に響く中、私達や他のクラスは入場し、開会式が始まった。



爆豪「……宣誓。俺が1位になる。せめて跳ねのいい踏み台になってくれ」

名前『わー……』



勝己のとんでもない選手宣誓で、初っ端から大ブーイングが起こった。

こうして波乱の体育祭は始まったのである。








第一種目は障害物競走だ。

コースを守れば何をしても構わないという、何とも危険なルールだ。

それぞれが思いを抱え、スタートラインに立つ。



ミッドナイト「スターーート!!!!」



第1種目が始まった。

てか狭!!スタートゲート狭!!
まるでマスコミが学校に不法侵入して学校中がパニックになったあの日のように、人が密集している。

密集して押し合い圧し合いをする私達に、突然氷が地面から襲いかかってきた。



名前「うわ、あっぶな!!轟だなこれ!!」



間一髪で、風で体を浮かせた私は凍ることは無かった。

轟の氷を簡単に抜け出したのは、私と勝己、ヤオモモ、切島、青山である。
続けて、他の1Aのメンバーも抜け出し始めた。


しかし先程の攻撃で少し遅れを取ってしまったようで、轟が先頭を走っている。

強風を使えば追い越せなくもない距離だが、競走はまだ序盤。
これから何が起こるのかわからないため、体力はなるべく温存しておきたい。

それにこの障害物競走は内容が明かされていない分、先頭が不利なような気がする。

今轟を追い越すのは得策ではないだろう。


そう考えた私は今の位置をキープすることにし、風をコントロールしながら飛ぶ。
走るのは疲れるし。

……が、私達の道を塞ぐ者が現れた。



「ターゲット、大量!!!」

名前「げっ、入試の時の……!」



目の前に現れたのは、入試の時にも現れたあの巨大ロボットだ。



《さぁいきなり障害物だ!!まずは手始め……第一関門、ロボ・インフェルノ!!》



しかも一体ではなく、大量に立ち塞がっている。
多すぎない!?


仮装敵は容赦なく先頭の轟に襲いかかる。

が、轟はひるまなかった。
一撃で仮想敵を凍らせると、足早に通り抜けていく。

それに加えて仮想敵を崩したことで、轟の後に続こうとした者たちへの妨害にもなっている。



《1-A轟!!攻略と妨害を一度に!!こいつぁしびーー!!すげえな!!一抜けだ!!アレだなもうなんか……ズリィな!!》



仮装敵の下敷きになってしまった人もいるようだ。

ひええ、やっぱりおっかないわ轟……!

すると、ズガーンッと氷が割れて中から切島が飛び出てきた。
って切島埋まってたの!!?



《ああーーーっ!1A切島、潰されてた!!ウケる!!》

切島「轟の野郎、わざと倒れるタイミングで……!俺じゃなかったら死んでるぞ!!」



すると切島の隣がズガーンッと割れて、もう1人が飛び出てきた。

あれは、この間A組に喧嘩ふっかけに来てた人……?



《ああーーーっ!B組の鉄哲も潰されてた!ウケる!!》



どうやらそのB組の人は切島と似たような個性を持っているらしい。



鉄哲「俺じゃなかったら死んでたぞ!!」

切島「個性ダダかぶりかよ!ただでさえ地味なのにーー!!」

鉄哲「待てコラーーーッ!!」



硬化とスティールは有利すぎるでしょ、これ……。

潰される心配もないから突っ込んでいけるのか、羨ましい限りだ。


だが相手が仮装敵なら加減せずにぶっ倒せる。
入試の時みたいに吹っ飛ばしてやろうじゃないの。
今回は反省を活かして、上じゃなく横にね!

しかし足元にぐるぐると風をまとい始めた時、聞き覚えのある爆発音が聞こえてきた。



爆豪「先に行かれてたまるかよ!!」

《1-A爆豪!下がダメなら頭上かよー!!クレバー!!》



爆破を使いこなして仮装敵の上を飛び越えていったのは勝己である。

さすがは勝己、頭がいい。
だけど準備が整ったのは私もだ。



名前「そんなら私は正面突破ーーーっ!!!」



ゴオォォォッ!と巨大な竜巻を発生させ、目の前に立ちはだかった一体を吹っ飛ばす。

いつもなら周りにいる人や建物に当たらないよう加減をするが、今日はその必要はない。
妨害も兼ねて、周りにも強風をプレゼントだ。
この場にいるのはヒーロー科だけではないから念の為加減して、踏ん張ればふっ飛ばされない程度の風にしておいたけど。

皆が強風で前に進めない中、私は風を纏って高く飛び上がり、一気にその場を突っ切る。



《また1-Aかよ!風花名前、竜巻でド派手に吹き飛ばしたァ!!目立つねェ!!んでもって周りにも強風!!可愛い顔して容赦ねェーー!!》

《相手が加減のいらねェ仮想敵だし、周りへの妨害もOKだからな。元々攻撃範囲の広いアイツにとっちゃもってこいなんだろ》

《一足先行く連中A組が多いな、やっぱ!!》




仮想敵の後はザ・フォール……綱渡りだった。

うっわ、怖い……。

ちょっとこの距離を風だけで飛んでいくのは不安がある。
実を言うとあんまり高所は得意じゃないし、恐怖で風のコントロールを誤れば落っこちてしまう。


……というわけで。



名前「よいしょ、っと……」

麗日「わああっ!?名前ちゃん、それ何!?」

名前「雲だよー!お先に失礼します!!」



実はスタートしてからずっと雲を作り続けていた。

バレないように頭上の10m程上で少しずつ作っておいたのである。

時間をかけれたおかげで丈夫な雲ができた。
強風を体に纏って飛ぶよりはスピードは落ちるけど、こちらの方が確実だ。

すいすいと空を飛び、前にいるであろう轟と勝己の後を追いかける。

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