2
──── それから数分後には、新選組幹部+千鶴と私によるお団子試食会が始まった。
土方さんは仕事があるとかで最初は拒否されたけど、「たまには息抜きに!!」と左之さんと私で無理やり引っ張ってきた。
新選組がみんなでひたすらお団子をモグモグと頬張る光景……。
かなり異色だし、なんだか面白い。
近藤「うむ!やはり『小桜団子』の団子は絶品だな!」
こはる「いつもご贔屓にありがとうございます!」
山南「この黒胡麻は安心する味ですね」
こはる「おおきにありがとうございます!」
沖田「僕、この黒豆きな粉が好きだな」
こはる「ほんまですか!おおきに!」
藤堂「オレはこの砂糖醤油だな!」
こはる「おおきに!兄に伝えておきますよって」
……いや、こはるのコミュ力エグいな。
もうこの場に馴染んじゃってるよ、さすが毎日お店で働いているだけあるわ。
皆が次々とお団子を頬張る中、私は一番最初から気になっていたお団子に手を伸ばす。
それは、薄桜色の可愛らしいお団子。
名前「……あっ、これ美味しい!私このお団子好き!」
千鶴「私も、この桜色のお団子が好きです!」
原田「おっ、お前らもか。俺もこれが好きだな、甘さが控えめでいい」
土方「……ああ、美味えな」
薄桜色のお団子、いきなり4票獲得。
すごい。
左之さんの言う通り、ほんのりとした優しい甘さが特徴的なお団子で、桜を連想させるものだった。
すると、私たちの言葉にこはるは目をキラキラと輝かせた。
こはる「ほんまに!?よかったわぁ!これな、うちの自信作なんよ。『小桜団子』やから桜に因んだお団子作りとうてな」
名前「そうなんだ!すっごく美味しい!」
千鶴「これ、どうやって色を付けたんですか?」
こはる「色は紅で付けとるで。餡子の方はな、春に桜の花を塩漬けにしててん。それを餡子に混ぜとるんよ」
千鶴「桜を使ってるんですね、すごい…!」
こはる「おおきに!うちもこれが一番お気に入りやさかい、嬉しいわぁ!」
私がこはるに千鶴を紹介するなり、あっという間に打ち解けた2人。
もちろん千鶴が女の子だということを、こはるは瞬時に見抜いていた。
楽しそうに話す女の子2人に挟まれる私……。
天国だなここは。
むしゃむしゃとお団子を頬張る私たちを、にこにこと嬉しそうな顔で見ているこはる。
そんな彼女を見ていたら、なんだかこっちまで嬉しくなった。
<< >>
目次