桜恋録ニ | ナノ


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──── それから暫く話し込んで、私たちは完全に仲良くなった。

驚くべきは、こはるの切り替えの速さだ。
こはるは失恋のショックからはあっという間に立ち直ったようで、私と色々な話に花を咲かせていた。

そしていつの間にか帰らなければならない時間になっており、私たちは先程店を出たところだ。



こはる「ほな、またな!いつでも来てな!」

名前「うん!またねー!」



こはるは私達の姿が見えなくなるまで見送ってくれていた。



原田「……まさか、こんな形で解決するなんてな」



少し歩いたところで、左之さんがポツリと呟いた。



名前「本当だよ。まさか恋文くれた相手が女の子で、しかも友達になれるなんて」

原田「でも、よかったじゃねえか」

名前「うん!今度ね、一緒に小間物屋さんに行くことになったんだ」

原田「そうか」



よかったな、と言って左之さんは私の頭を撫でてくれた。



原田「……しかし、あれだな。あの嬢ちゃんはお前に似てるな」

名前「……え、うそ」

原田「ああ。雰囲気もそうだが……真っ直ぐな目が何よりもそっくりだったぜ」



……確かに、「友達になりたい」と言われて彼女に見つめられた時、その表情が誰かに似ていると思った。

それはもしかして、鏡で見る私の姿に似ていたのかな。



名前「……そっか。私もね、こはるとは何だか初めて会った気がしないんだよね」

原田「そうなのか?不思議なこともあるもんだな」



──── そう。

こはるは、ずっと前にどこかで会ったことがあるような、不思議な懐かしさがある人なのだ。

運命っていうやつなのかなあ。



原田「……まあ何にせよ、いい友達が出来て良かったな」

名前「うん!」



そんな会話をしながら、私たちはのんびりと歩く。

夕焼けが、仲良く歩く私達の影を穏やかに照らしていた。





(……あ、山崎さんにも報告しなきゃ)

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