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──── それから暫く話し込んで、私たちは完全に仲良くなった。
驚くべきは、こはるの切り替えの速さだ。
こはるは失恋のショックからはあっという間に立ち直ったようで、私と色々な話に花を咲かせていた。
そしていつの間にか帰らなければならない時間になっており、私たちは先程店を出たところだ。
こはる「ほな、またな!いつでも来てな!」
名前「うん!またねー!」
こはるは私達の姿が見えなくなるまで見送ってくれていた。
原田「……まさか、こんな形で解決するなんてな」
少し歩いたところで、左之さんがポツリと呟いた。
名前「本当だよ。まさか恋文くれた相手が女の子で、しかも友達になれるなんて」
原田「でも、よかったじゃねえか」
名前「うん!今度ね、一緒に小間物屋さんに行くことになったんだ」
原田「そうか」
よかったな、と言って左之さんは私の頭を撫でてくれた。
原田「……しかし、あれだな。あの嬢ちゃんはお前に似てるな」
名前「……え、うそ」
原田「ああ。雰囲気もそうだが……真っ直ぐな目が何よりもそっくりだったぜ」
……確かに、「友達になりたい」と言われて彼女に見つめられた時、その表情が誰かに似ていると思った。
それはもしかして、鏡で見る私の姿に似ていたのかな。
名前「……そっか。私もね、こはるとは何だか初めて会った気がしないんだよね」
原田「そうなのか?不思議なこともあるもんだな」
──── そう。
こはるは、ずっと前にどこかで会ったことがあるような、不思議な懐かしさがある人なのだ。
運命っていうやつなのかなあ。
原田「……まあ何にせよ、いい友達が出来て良かったな」
名前「うん!」
そんな会話をしながら、私たちはのんびりと歩く。
夕焼けが、仲良く歩く私達の影を穏やかに照らしていた。
(……あ、山崎さんにも報告しなきゃ)
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