1
名前「……うえっ……気持ち悪い……」
みなさんこんにちは、苗字です。
私は今、朝ごはんを食べることもなく布団の中で蹲っています。
お腹が痛いし体は熱っぽいし、胃袋には何も入ってないのに吐きそうです死ぬ。
……なんで初っ端からこんなことになっているかといいますと、
名前「絶対これ、昨日の饅頭じゃん……くっそ……」
多分、昨日食べた饅頭が腐ってました。
完全に食あたりだと思われます。
──── 昨日、新八っつぁんが私にお饅頭をくれた。
なんでも、炊事当番で昼ごはんを作っていたら、偶然戸棚から発掘したらしい。
新八っつぁんの中では甘味=苗字名前らしく、昼ごはんを食べた後に私にくれたんだ。
あの時は久々のお饅頭だったから大喜びで受け取って食べたけど……。
「戸棚から発掘した」って時点で疑うべきだったわ……苗字名前、一生の不覚。
名前「うぬおおお……気持ち悪いぃ……お腹痛い……」
吐き気のあまり、一点見つめ発動。
マジで集中力切らしたら吐きそう、吐くものないけど。
少しでも動けば胃液を吐き出しそうだし、何よりお腹が痛すぎて動けないから助けも呼べない。
熱があるせいか、体も重い。
どうしよう、遅刻したら土方さんに怒られる……。
お腹やられてるのに怒鳴られたら頭までやられる!
どうやってみんなに知らせようか、と回らない頭を必死に回転させていた時だった。
藤堂「 ──── 名前、起きてるかー?朝飯無くなっちまうぞー?」
障子の向こうから平助の声が聞こえた。
奇跡だ!!人が来てくれた!!
名前「へ、へーすけ……うっぷ……」
や、や、やばいやばい。
喋ったら胃液出そうになった、喉まで来てた今。
藤堂「お、おいどうした!?入ってもいいか!?」
一点見つめモードを発動しなければならない状況になってしまったため、その質問には答えられなかった。
数秒後、スパーンッと勢いよく障子が開いて平助が駆け寄ってくる。
藤堂「名前、どうした!?」
名前「うっぷ……ちょ、やめて……うえぇ……」
あろうことか、私のことをゆさゆさと揺さぶる平助。
おいこらやめろ馬鹿、胃液が出る!!!
藤堂「わ、悪ぃ……もしかして、気持ち悪いのか?」
名前「……吐きそう……お腹、痛い……」
藤堂「ほ、他には!?」
名前「……熱っぽい……あと、なんか、目眩……する……」
気持ち悪くてもお腹は空くんだよね、困ったものだ。
多分空腹のあまり目眩がしているんだと思う、餓死寸前だ。
すると、私の話を聞いた平助がサッと顔色を変えた。
………え、何。
藤堂「……オ、オレ、左之さん呼んでくるからな!!ちょっと待ってろよ!!」
名前「……いや、出来れば土方さんに……って、ちょっと!?……うっぷ……」
土方さんに「今日は休ませてほしい」と伝えて、と伝言を頼もうと思った時には、平助は部屋から出て行ってしまっていた。
なんだか、明らかに焦っているようだった。
……まあでも、左之さんに伝えてくれるなら大丈夫だろう。
左之さんはめちゃくちゃ気が回る人だし、土方さんにも伝えてくれるはず。
とりあえず、今日は寝ていよう。
私は深く布団を被り、吐き気に耐えながら目を閉じた……。
<< >>
目次