桜恋録ニ | ナノ


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名前「……うえっ……気持ち悪い……」



みなさんこんにちは、苗字です。

私は今、朝ごはんを食べることもなく布団の中で蹲っています。
お腹が痛いし体は熱っぽいし、胃袋には何も入ってないのに吐きそうです死ぬ。

……なんで初っ端からこんなことになっているかといいますと、



名前「絶対これ、昨日の饅頭じゃん……くっそ……」



多分、昨日食べた饅頭が腐ってました。

完全に食あたりだと思われます。







──── 昨日、新八っつぁんが私にお饅頭をくれた。

なんでも、炊事当番で昼ごはんを作っていたら、偶然戸棚から発掘したらしい。
新八っつぁんの中では甘味=苗字名前らしく、昼ごはんを食べた後に私にくれたんだ。

あの時は久々のお饅頭だったから大喜びで受け取って食べたけど……。
「戸棚から発掘した」って時点で疑うべきだったわ……苗字名前、一生の不覚。



名前「うぬおおお……気持ち悪いぃ……お腹痛い……」



吐き気のあまり、一点見つめ発動。
マジで集中力切らしたら吐きそう、吐くものないけど。

少しでも動けば胃液を吐き出しそうだし、何よりお腹が痛すぎて動けないから助けも呼べない。

熱があるせいか、体も重い。


どうしよう、遅刻したら土方さんに怒られる……。
お腹やられてるのに怒鳴られたら頭までやられる!

どうやってみんなに知らせようか、と回らない頭を必死に回転させていた時だった。



藤堂「 ──── 名前、起きてるかー?朝飯無くなっちまうぞー?」



障子の向こうから平助の声が聞こえた。

奇跡だ!!人が来てくれた!!



名前「へ、へーすけ……うっぷ……」



や、や、やばいやばい。

喋ったら胃液出そうになった、喉まで来てた今。



藤堂「お、おいどうした!?入ってもいいか!?」



一点見つめモードを発動しなければならない状況になってしまったため、その質問には答えられなかった。

数秒後、スパーンッと勢いよく障子が開いて平助が駆け寄ってくる。



藤堂「名前、どうした!?」

名前「うっぷ……ちょ、やめて……うえぇ……」



あろうことか、私のことをゆさゆさと揺さぶる平助。

おいこらやめろ馬鹿、胃液が出る!!!



藤堂「わ、悪ぃ……もしかして、気持ち悪いのか?」

名前「……吐きそう……お腹、痛い……」

藤堂「ほ、他には!?」

名前「……熱っぽい……あと、なんか、目眩……する……」



気持ち悪くてもお腹は空くんだよね、困ったものだ。
多分空腹のあまり目眩がしているんだと思う、餓死寸前だ。

すると、私の話を聞いた平助がサッと顔色を変えた。

………え、何。



藤堂「……オ、オレ、左之さん呼んでくるからな!!ちょっと待ってろよ!!」

名前「……いや、出来れば土方さんに……って、ちょっと!?……うっぷ……」



土方さんに「今日は休ませてほしい」と伝えて、と伝言を頼もうと思った時には、平助は部屋から出て行ってしまっていた。

なんだか、明らかに焦っているようだった。

……まあでも、左之さんに伝えてくれるなら大丈夫だろう。
左之さんはめちゃくちゃ気が回る人だし、土方さんにも伝えてくれるはず。

とりあえず、今日は寝ていよう。


私は深く布団を被り、吐き気に耐えながら目を閉じた……。

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