4
《名前 side 》
──── 私に触れる左之さんの手は、まるで割れ物に触れるように優しくて。
特に痛みが酷い間は、何度も私を気遣ってくれていた。
痛いけど、彼に触れてもらえるのが嬉しくて仕方なかった。
……そして彼と、身も心も一つになった時。
私の瞳からは、涙が零れた。
原田「……痛むか?」
低い声と共に、熱い息が耳にかかる。
私はその言葉に、首をふるふると横に振った。
名前「……嬉しい、の……」
……ああ、どうしよう。
涙が止まらない。
嬉し泣きなんて、人生で初めてかもしれない。
涙で視界が歪んで、左之さんの表情がわからなくなった。
すると、唇に優しい口付けが落とされる。
原田「……俺もだ。愛してる、名前……」
耳元で囁かれ、それがまた私の涙腺を刺激する。
だけど、世界一愛しい人からの愛の言葉に、私の顔は綻んだ。
名前「 ──── 左之さん、大好き」
<< >>
目次