桜恋録ニ | ナノ


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《名前 side 》


──── 私に触れる左之さんの手は、まるで割れ物に触れるように優しくて。

特に痛みが酷い間は、何度も私を気遣ってくれていた。
痛いけど、彼に触れてもらえるのが嬉しくて仕方なかった。


……そして彼と、身も心も一つになった時。
私の瞳からは、涙が零れた。



原田「……痛むか?」



低い声と共に、熱い息が耳にかかる。

私はその言葉に、首をふるふると横に振った。



名前「……嬉しい、の……」



……ああ、どうしよう。

涙が止まらない。
嬉し泣きなんて、人生で初めてかもしれない。

涙で視界が歪んで、左之さんの表情がわからなくなった。

すると、唇に優しい口付けが落とされる。



原田「……俺もだ。愛してる、名前……」



耳元で囁かれ、それがまた私の涙腺を刺激する。

だけど、世界一愛しい人からの愛の言葉に、私の顔は綻んだ。



名前「 ──── 左之さん、大好き」



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