桜恋録ニ | ナノ


3



──── カポーン………



名前「ふぃーーー………」

千鶴「気持ちいいねぇ………」



今の私達に効果音を付けるなら、「ほっこり」だと思う。

温泉へとやってきた私達は体を流した後、早速露天風呂へと入っていた。

やっぱ温泉と言えば露天風呂っしょ!



名前「ゆっくりお風呂に入れるっていいねぇ」

千鶴「そうだね、屯所じゃのんびり入れないし……」



私と千鶴は顔を見合わせて微笑んだ。

いやもうマジで、温泉って最高すぎるね。
体の内側からもポカポカと温まってきている気がする。

そして凝り固まった肩をほぐそうと、「うーん」と伸びをした時だった。
何だか視線を感じて横を向けば、千鶴が私をじっと見つめていた。



名前「………どうしたの?」

千鶴「………前から思ってたんだけど、名前ってすごく色白で綺麗だよね」

名前「………え?」

千鶴「色白だし髪も顔も綺麗だし足も長いし……」

名前「……ち、千鶴?」

千鶴「胸もすごく綺麗だよね……!」

名前「千鶴どうした!?」



一体何があったんだ、この一瞬のうちに頭でも打ったのか!?
私の体を見つめる千鶴は……何だか目を輝かせていた。

キャラ保って千鶴、そんな君も好きだけども!!!

そんな事を思っている間にも、千鶴はズイッと私の方に身を乗り出してきた。



千鶴「どうやったらそんなに綺麗な胸になるの……?」

名前「い、いや……どうやってって言われても……」



私は自分の胸を見下ろした。

特段大きくもなければ、それほど小さいわけでもない2つの山が目に入る。

別にそれほど綺麗でもないと思うんだけど……。



千鶴「………もしかして原田さんに、」

名前「いや違うからね!?どうしてそうなる!?」



おい千鶴、そのちょっと残念そうな顔はなんだ。

めちゃくちゃ可愛いし天使であることに変わりはないから全然いいんだけれども。



千鶴「名前………」

名前「待って千鶴、なんか目が据わってるよ怖いよ」

千鶴「……名前の触ったら、私も大きくなるかな……」

名前「……いやあの、そんな神社みたいなことはないからね?『ご利益あります』みたいなものじゃないからね?」

千鶴「お、お願い!少しだけ!」

名前「仕方ねえな愛する千鶴の頼みだ!!」

千鶴「ありがとう!失礼します……!」



おい誰だ今苗字単純とか言ったやつ!

考えてみろ、こんなに可愛い千鶴にお願いされたら断ることなんかできないだろうが!!!


……すると、すぐ近くでバシャーンッという派手に水しぶきが上がったような音が聞こえた。

続けて「平助!?大丈夫か!?」という新八っつぁんの声。


あれ、もしかして男湯って案外女湯と近いのかな?新八っつぁんの声聞こえたよね今。
それより平助大丈夫かな?何かあったのかな?


そんなことを考えている間にも、ぷにぷにと私の胸を突っついてくる千鶴。
やはり少し遠慮してくれているのか、鎖骨に近い部分だけを触られる。



千鶴「あ、ありがとう……!ご利益ありそう!」

名前「いやあの、私の胸を拝まないで……」



しっかりと手を合わせて、私に向けてお辞儀をする千鶴。
心做しか今日は千鶴のボケ属性が加速している気がする。

……でも、たまにはこういうキャラ崩壊千鶴もいいかもしれない( *¯ ¯*)ムフフ

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