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沖田「 ──── 土方さん、近藤さんが呼んでま、………」
いきなり障子が開いたかと思えば、ひょっこり顔を覗かせた沖田さん。
私と目が合った途端、沖田さんは言葉を切った。
………最悪だ。
今絶対に会いたくなかった人に会ってしまった。
沖田「………何その前髪、新手の折檻?何したの?」
土方「おい折檻とはなんだ総司」
いやもう沖田さんの言う通りだよ、新手の折檻だよこれ。
ほぼ罰ゲームと等しいよ。
沖田「もしかして、土方さんが切ったんですか?」
土方「ああ」
沖田「……ぷっ、あははははは!」
名前「笑うなコノヤロー!!!」
だからこの人には会いたくなかったんだよ!!
沖田「これはちょっと、さっ、さすがにっ……名前ちゃんが可哀想ですよ、あはははっ!!!」
名前「そう思うなら笑うな!!!」
沖田「無理無理、面白すぎ!あはははっ!!」
……もう、最悪だ。
前髪伸びるまで部屋に引きこもりたい。
土方「…………で、総司。近藤さんが何だって?」
沖田「あ、ああ、だから近藤さんが呼んでますって……ぷっ、はははは!!」
名前「いつまで笑ってんだよ!!!」
土方「……苗字、すまなかったな」
名前「もう遅いですよ!!私これからどうやって生きていけばいいんですかこれ!!」
土方「……」
名前「ちょっと、無言で出て行かないでくださいよ!!!」
なんかもう、泣きたい。
沖田さんなんて、笑いすぎて涙流してるし。
沖田「…っ、あー、笑った笑った。君って本当に天才だよね、いろんな意味で」
名前「いやこれ不可抗力なんですけど。あとそれ褒めてないでしょ」
私は大きな溜息をついた。
その間にもつんつんと私の前髪を触る沖田さん。
おいこら触んな。
沖田「その短さだからおかしいんじゃない?いっそのこと根元から切って前髪無くしたら?」
名前「馬鹿なの?」
沖田「それ、君にだけは言われたくないな」
名前「どういう意味だコラ」
沖田「ていうか、これから毎日その髪型の君と会わなきゃいけないわけ?会う度に笑う未来が見えるんだけど」
名前「今すぐこの人を殴りたい、切実に」
いやでもこれマジでどうしよう……。
制服のポケットかどこかに奇跡的にヘアピン入ってたりしないかな。
沖田「そもそも、どうして土方さんに頼んだわけ?千鶴ちゃんに頼めばよかったじゃない」
名前「……た、確かに」
座れ!俺がやる!って言われたから、言われるがままになってたわ。
くっそ、絶対千鶴にやってもらった方がよかったじゃん!!
沖田さんにしては珍しくまともなこと言ってんな。
沖田「ねえ斬るよ?」
名前「なんで!?私何も言ってないんだけど!?」
沖田「失礼なこと考えてる顔してたから」
名前「どんな顔だよ。まあ確かに考えてたけども」
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