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名前「 ──── うおおおおおおおおっっっ!!!」
ドタドタという騒がしい足音と共に聞こえてくる、名前の声。
永倉「お、噂をすれば何とやらってやつか」
ひょいと片手で障子戸を少し開ければ、雑巾がけをして廊下を行ったり来たりしている名前の姿が。
やっぱり雑巾がけしてたか。
遠くからは、「うるせえ!!いちいち叫ぶんじゃねえ!!」という土方さんの怒鳴り声も聞こえる。
原田「名前」
隙を見計らって、俺は名前に声をかけた。
名前「あっ、左之さん!皆も!今日も飲んでるの?」
原田「ああ」
藤堂「石田散薬ぶちまけたって?」
名前「ちょっと左之さん!何で話しちゃうのさ!」
原田「いいじゃねえか、面白えし」
名前「もー!それより聞いてよ、土方さんってば鬼畜すぎるんだよ!足痺れてんのに雑巾がけだなんて!」
藤堂「頑張れって」
永倉「名前ちゃんも早くそれ終わらせて此方に来な!」
名前「あ、行く!全力で終わらせるわ!」
土方「苗字!!!無駄口叩いてんじゃねえ!!!」
名前「ぎゃっ!!すみませーん!!じゃあみんな、また後でね!」
ドタドタと足音を立てて、雑巾がけをしながら去っていく名前。
まるで嵐のように去っていった彼女を見て、俺達の間には再び笑い声が上がった。
藤堂「本当彼奴って面白えよなー!」
永倉「名前ちゃんが一緒なら人生退屈しねえだろうな、左之よ」
原田「ちげえねえ」
名前の笑顔を思い出せば、口元が緩む。
……まぐわれなかろうが、そんなことで俺の気持ちが彼奴から離れるような事は絶対にない。
彼奴が許してくれるまで、俺が待てばいい話だ。
いつも笑顔で明るくて根性があって、それでいて心の中は本当に優しくて。
そして一緒に笑い合える彼奴が本当に可愛くて、たまらなく愛おしい。
原田「……手放すつもりはねえよ、何があってもな」
そう言って、今度は大事にゆっくりと酒を味わった……。
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