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《原田 side 》
永倉「 ──── 珍しいじゃねえか、お前から誘ってくれるなんてよ」
原田「……ん?そうか?」
藤堂「確かに。いつも飲み会の言い出しっぺは新八っつぁんだもんな」
原田「……そう言われれば、そうかもな」
そんな事を言いながら、俺は新八と平助にも酒を注ぐ。
今は、俺の部屋で男3人でいつもの飲み会中だ。
……確かに、俺から言い出すことはあまりねえかもな。
永倉「そういや、今日は名前ちゃんは来ねえのか?」
原田「ん?ああ、彼奴なら土方さんの所で説教されてるぜ」
藤堂「またかよ……何やったんだ?」
原田「石田散薬を床にぶちまけたらしい」
藤堂「どういう状況!?」
永倉「ったく、相変わらず面白え子だな、名前ちゃんはよォ」
確かにこの3人で飲むのに、名前が居ないのは珍しいかもしれない。
今頃足を痺れさせながら説教を受けて、挙句の果てに拭き掃除までさせられているところまでがしっかりと想像でき、思わず口元が緩む。
……しかし名前の名前が出たせいか、そこからは名前と俺の話になってしまった。
永倉「……で、左之。最近どうよ?」
原田「……何の話だ?」
永倉「何って、名前ちゃんとのことに決まってんだろ!」
原田「ああ……」
藤堂「新八っつぁんって本当そういう話好きだよな……」
平助の言う通りだぜ。
どうなんだって言われてもよ……。
原田「……別に、今までと大して変わらねえよ」
永倉「またまたそんな事言って!どうなんだよ、夜の方は?」
原田「お前な、そういう事聞くか?普通……」
永倉「お前にしか聞けねえから聞いてるんだろうが。平助も気になるだろ?」
藤堂「えっ!?……いや、まあ……気になるかならないかと言われたら………なる」
永倉「だろ!?」
原田「何赤くなってんだよ平助……」
藤堂「う、うるせえな!」
人の女で何を想像してんだ全く。
……俺ですらまだ見てねえのに。
永倉「で、どうなんだよ!?名前ちゃんは!?」
そう言って、目を輝かせて身を乗り出してくる新八。
俺の頭には、名前の姿が思い浮かぶ。
原田「……どうもこうも、手なんてまだ出しちゃいねえよ」
俺はそう言って、グイッと猪口の酒を飲み干した。
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