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原田「 ─── っ!おい、ずぶ濡れじゃねえか!!」
沖田「早く着替えないと風邪引くよ」
2人の声がして、私は目を開ける。
どうやら、難なく左之さんが受け止めてくれたようだ。
さ、左之さんすげえ……。
名前「……あ、ありがとう……」
沖田「本当、人騒がせだよね、君って」
原田「ったく、また攫われたのかと思ったじゃねえか」
沖田「左之さん凄く心配してたんだよ」
名前「……ごめんなさい」
確かに今回は私が悪い。
肩をすぼめて私は2人に素直に謝った。
沖田「その猫、早く逃がしてきなよ」
名前「で、でもこの子怪我してるみたいなの!手当してあげないと……」
「ニャアー」
慌ててそう言えば、沖田さんはチラリと猫を見た。
沖田「……山崎君にでも頼んで手当してもらえば?」
名前「う、うん!そうする」
沖田「じゃあ僕は平助を呼んでこようかな」
原田「ああ、頼む。……んじゃ、戻るか」
左之さんはそう言って立ち上がった。
………私を姫抱きにしたまま。
………ん???
名前「………左之さん?怪我してるのは猫ちゃんだけだから、私は歩けるよ?」
原田「足挫いてるかもしれねえだろ?」
名前「いやめちゃくちゃピンピンしてます。何なら走り回れます」
原田「いいから抱かれとけ」
名前「えええええっ!?」
何故か私を降ろしてくれない左之さん。
なんで!?
いや左之さんに姫抱きにされるとかマジで夢みたいだけどさ!!
さすがに恥ずかしいから降ろしてほしいな!?
沖田「……ちょっと、いちゃつくなら2人の時にやってよ」
名前「い、いちゃついてない!!」
沖田さんの言葉に、顔に熱が集中するのを感じた。
原田「いいじゃねえか、こんな事滅多にできねえんだから」
名前「えええ……」
沖田「夜中に2人でやればいいじゃない」
名前「ねえその言い方やめて?」
──── その後、着替える服が無かったから制服に着替えて台所に行ったらめちゃくちゃ一君に怒られた。
「遅い」っていうのと「なんだその着物は」っていうので2回怒られた。
そして土方さんにも今日のことがバレて怒られた。
本当に今日はツイてない……って、言いたいところだけど、左之さんに姫抱きにしてもらえて幸せなので、OKです。
(……はい、これで大丈夫ですよ)
(よかった!ありがとうございます、山崎さん)
(……話は伺いました、今後はくれぐれも気を付けてください)
(はい、すみませんでした……)
(山崎さんにも怒られた………)
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