桜恋録ニ | ナノ


1



名前「 ──── 野郎共、団子の時間だ!!!」


──── スパーンッ



永倉・藤堂「うわあああああああああああああああっ!!!!!」









名前「………え、何?」

藤堂「い、いやいやいやいや!何も!何もないよ!?」

永倉「そ、そうそう!何もねえよ!!」



私は別に忍び足で来たわけでもないし (なんなら走ってきた)、皆みたいに気配を消せるわけでもない。

それなのに、そんなにびっくりするか?
気配くらい察しろ、新選組幹部!


ポカンとして2人を見れば、目を飛び出さんばかりに見開いて、冷や汗を流しながら必死に首を横に振る2人。

………怪しすぎる。
つーかさっき後ろに何か隠したろ、見てたからな。



名前「……それ、何?新八っつぁんが後ろに隠してるやつ」

永倉「かっ……!?いや、隠してねえよ何も!なあ平助!」

藤堂「あ、ああ!隠してない隠してない!なーんにも!!」

名前「………ふーん」



なんか、そこまで露骨に隠されると見たくなってしまう。

それが人間ってもんでしょ。



永倉「そ、それで!?なんだって?」

藤堂「だ、団子がどうとか言ってたよなぁ!?」

名前「……あ、そうそう!近藤さんがお団子くれたから一緒にどうかと思って」

永倉「お、おおお!食いてえ!ありがとよ!」

藤堂「や、やっぱりお前は優しいなあ!!」

永倉「だな!!さすが名前ちゃんだな!!」



大量の汗を書きながら、不自然な笑顔を浮かべて頷きあっている二人。

私はというと、吹き出さないようにするのに必死だ。
何そのご機嫌取り、露骨すぎて面白すぎるんだが!?

しかも新八っつぁんってば、カニ歩きで押し入れの方に近づき始めた。

お、隠すつもりか!?上等だ、意地でも奪ってやる!!



名前「……あーっ!新八っつぁんの後ろにこの間の人形が、」

永倉・藤堂「ぎゃああああああああああああああああっ!!!!!」

名前「隙ありっ!!」



──── シュパッ



永倉「し、しまった!!!」

藤堂「おい何やってんだよ新八っつぁん!!」

名前「へへーん、ゲットー!!どれどれ……」

永倉「うわあああ駄目だ名前ちゃん!女の子がそんなもん見ちゃいけねえ!!」



因みに人形なんていません、嘘です。
お祓いしてもらって人形を供養してから、ぱったりと見なくなりました。

そして私が新八っつぁんから奪い取ったのは謎の本。
新八っつぁんの制止も聞かず、パラリとページをめくる。



名前「……ははーん、なるほどね」

藤堂「うっ………」



……まあ、彼らのこの焦りようから既にお気づきの方もいるでしょうが。

あれですね、江戸時代のエロ本です。



名前「なーんだ、必死に隠すから何かと思えば……」

藤堂「………え?」

永倉「……い、嫌じゃねえのか……?」

名前「嫌も何も、男の人はこういうの見るのが普通なんじゃないの?悪いことじゃないんだし、別に隠すことないじゃない」



私の言葉に、うるうると涙目になる2人。

な、何だ……?
キョトンとして彼らを見ていれば、勢いよく私に抱きついてくる2人。



永倉「名前ちゃん!!!お前さんならわかってくれると思ってたぜ!!!そうだよなあ、美人な姉ちゃんの良さがわかる名前ちゃんだもんなあ!!!」

藤堂「オレもうずっとお前と友達でいてえわ!!お前良い奴だな本当!!!」

名前「いだだだだだだ!!首!!新八っつぁん首締まってる!!ヘッドロックかかってる!!!」

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