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すると、平助が「お、おい……」と掠れた声を出した。
藤堂「……い、今……その人形、笑ったぞ……?」
名前「は、はあ!?そんなわけないじゃんやめてよその髪引っこ抜くよ!?」
藤堂「なんで!?」
沖田「……平助も見たの?僕も見た」
全員「「「「「「「…………」」」」」」」
スパーンッ!!
ゴトッ…………
名前「ぎゃーーーーーっっっ!!?」
その瞬間、千鶴の持っていた人形は、あろうことか胴体と首が真っ二つになり、首はコロコロと転がっていった。
もちろん、勝手に取れたわけではない。
名前「何してんのさ、一君っ!?呪われるってそんな事したら!!」
斎藤「す、すまぬ……つい……」
いつの間に刀を抜いたのかわからないが、物凄いスピードで人形を真っ二つに斬った一君。
さすが居合の達人。
だけどコロコロと転がったせいで人形の髪が乱れている。
その髪から覗く不気味な目、薄く笑っているような口、青白い肌………。
なんかもう、全てが怖い。
名前「やだああああ左之さああああああ」
原田「わかったから泣くなって!大丈夫だ、大丈夫」
私を抱きしめて、よしよしと頭を撫でてくれる左之さん。
大好きです一生ついていきます。
あ、左之さんの着物が私の涙でびしょ濡れだ、ごめんなさい。
……すると、
土方「 ──── おい、うるせえぞお前ら!何やってんだ」
藤堂「ひ、ひ、土方さん………」
土方「……なんだお前ら。皆して顔色悪いぞ」
原田「……じ、実はなぁ……」
騒ぎを聞きつけてやってきた土方さん。
左之さんがまたもや状況を説明している。
話を聞くうちに、彼の眉間にはどんどん皺が寄っていった。
……そして、暫くしてから一言。
土方「……燃やすぞ」
全員「「「「「「「御意」」」」」」」
満場一致で、その1時間後に燃やした。
炎の間から見える人形の顔が本当に怖くて、また左之さんの腹筋で泣いた。
で、でも、もう大丈夫だよね!!
だって燃やしたもん、原型無くなったもん。
これでもう大丈夫と、その日は皆が安心していた。
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