鬼灯の冷徹 | ナノ


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──── 本日は、EU地獄のサタン王が日本の地獄へ来訪する日である。



閻魔「ようこそおいで下さいました! 私が日本の地獄を治めております、閻魔です」

サタン「急にお邪魔してしまって申し訳ない」

閻魔「いえいえ」

サタン「これ、つまらないものですが」

閻魔「そんなお気遣いなさらずとも……ご丁寧に、ありがとうございます」



ニコニコと笑みを浮かべながらEUからの手土産を閻魔に渡すサタン。

と、このように表面上は好意的なのだが……。



サタン「(フン、コイツが閻魔か。見るからに人が好さそうだ。いずれは東洋も俺の傘下に収めてやるつもりだが……こりゃ肩透かしなくらいだな)」



実はこのサタン、ただ遊びに来たわけではない。
言わば偵察が目的なのである。

それを知ってか知らずか、閻魔はにこやかに話を続けた。



閻魔「もっとゆっくりお話ししたいところなのですが、私も忙しい身でして。案内は部下にさせましょう」

サタン「(フン、目的は偵察だ。案内は誰だろうとかまわん)」

閻魔「是非、ご自由に見て回って下さい」

サタン「(そうするつもりだ)」

閻魔「こちらが、私の補佐官の鬼灯です。補佐官はもう一人いるのですが、今は少々手が離せないようでして。案内は鬼灯が致します。優秀な部下ですから、安心して下さい」



鬼灯はサタンの前に進み出た。



鬼灯「よろしくお願い致します」



いつものように、表情ひとつ変えずに挨拶をする鬼灯。

いうわけで、鬼灯の案内に従い、サタンは地獄巡りを始めることになったのである。


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