ハイキュー 『君の隣で』 | ナノ


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※オリジナルキャラクターが登場します。


白間「 ─── あ、おはよー名前」

名前「っはよー!」


GWが明けて合宿も終わり、今日から学校だ。
いつも通りに登校すれば、私の隣の席の白間美紀は既に来ていた。

美紀と私は1年の時からクラスが一緒で、一番仲のいい女友達である。
竹を割ったような性格の女の子で、一緒にいると楽なのだ。
お弁当も一緒に食べることが多い。
だけど美紀はいつも遅刻ギリギリに来る子なのに、珍しい。


名前「なになに、今日めっちゃ早いじゃん!てか、何作ってんの?」

白間「あ、これねー。羊毛フェルトっての。知ってる?」

名前「あ、聞いた事あるわ。針でフェルトをプスプスするやつでしょ?」

白間「そうそう、それ」


美紀は机の上に乗っているスポンジを突っついていて、何をやっているのかと覗き込めば、手の中には赤くて丸いフェルトがあった。


名前「へー!何作ってんの?りんご?」

白間「ダルマ」

名前「……だ、ダルマ?」

白間「そ。まぁ、必勝祈願ってやつ?」

名前「必勝……ああ、そういうことか!」


美紀は男子バスケ部のマネージャーである。
運動部はみんなインハイ予選が近いし、部員に配る物なのだろう。
運動部ではよくあることだ。


名前「にしてもダルマかぁ。いいセンスしてんね!」

白間「ダルマってさ、開運にいいのよ。赤のダルマには勝利とか大願成就って意味あるんだって」

名前「へえー!知らなかった!」

白間「これ、練習で作ったやつ」

名前「えっ、可愛い!めっちゃ可愛い!ストラップになってるし!!」

白間「ありがと」


美紀はスクバを漁り、羊毛フェルトでできたダルマを見せてくれた。
よく見かけるイカつい顔のダルマではなく、可愛らしい顔をしている。
ストラップになっているから、皆でお揃いでバッグに付けたりもできそうだ。


白間「よくあるのはお守り袋とかミサンガだけどさ、如何せん私不器用だから。でも羊毛フェルトならちょっとやったことあるし、裁縫よりは簡単なのよ」

名前「へえー!」


今の時期はどの運動部のマネージャーもお守り作りに励んでいることだろう。
私は去年はいつも通り手作りのお菓子の差し入れをしたけど……。


名前「ね、それって初心者でもできる?」

白間「んー、作る物によるかな。丸い物だったら簡単だよ、初心者は玉から作るし」

名前「丸……バレーボールとかは?」

白間「あ、いいと思うよ。黄色で玉作って、その上から青を重ねればできる」

名前「マジか!」

白間「お、あんたもやるの?」

名前「やりたい!楽しそうだし!こっちもみんなインハイ予選に向けて頑張ってるからちょうどいい!」


羊毛フェルト!楽しそう!
去年みたいにインハイ予選間近になったら、ちょっと奮発したお菓子を差し入れして、それと一緒に配るとか!
おおお、我ながらナイスアイデアかも!!


名前「そういうお守りってさ、みんなの名前とか入れるの?」

白間「私は入れてる。ついでに背番号も」

名前「うあ、難しそう……」

白間「文字はローマ字なら簡単だよ。バレーボールなら、そうだなぁ……青い部分に白いフェルトで名前埋め込んだりとか?」

名前「天才か」


それはナイスアイデアすぎるぜ、美紀!


白間「あとは……こういうのってやっぱりサプライズで渡したいじゃん?だから特に西谷には見つからないようにしなきゃね、クラス一緒だし」

名前「うあ、そういう事も気にしなきゃいけないのか……!それで朝早く来てるんだ」

白間「そゆこと、うちのクラスはバスケ部多いし。しかもこれさ、時間忘れて無心でやっちゃうから遅刻しかけるのよ」

名前「それは危ない」

白間「だから朝学校に来てやって、あとは昼休みかなぁ。どこか空いてる教室借りてやろうかなって」

名前「私も参加していい?」

白間「もちろん。フェルトとニードルとスポンジ持参ね、百均にあるよ」

名前「百均かー、部活終わった後じゃ厳しいな……。ここは天下のAm〇zonかな」

白間「お、プライム会員」

名前「親がね」


うおおお、燃えてきた!!
上手く作れるかはわからないけど……。
みんな、喜んでくれたらいいな。
みんなの笑顔を想像するだけでやる気が出てくる。


白間「あー、集中したからお腹空いた!購買行ってこようかな」

名前「あ、それなら紅茶マフィンあるんだけど食べない?試作品なんだけどさ」

白間「え、神じゃん」


途端に目を輝かせてこちらを見てくる美紀は、まるで子犬みたいだ。
無いはずの尻尾が今なら見える。


名前「はい、これ」

白間「やった、ありがと!いただきまーす (ガブッ)」

名前「ひと口!!?」

白間「んー!!うまーーーい!!」


手のひらサイズのマフィンを、ぐわっと大きく口を開けてひと口で食べてしまった美紀。
まるで掃除機のように口の中へ吸い込まれていったマフィンを私はしっかりと見た。


白間「やっぱあんたのお菓子美味いわ!これ、ちゃんと栄養考えて作ってんでしょ?あんた、管理栄養士とか向いてんじゃない?」

名前「えー、そうかなぁ……」

白間「それか、食堂のおばちゃんとか」

名前「お残しは許しまへんでー!!」

白間「うわっ、ご本人登場!(笑)」


2人でゲラゲラ笑っていれば、いつの間にか始業時間が近付いてきているらしくチャイムが鳴った。
よーし、家に帰ったら早速羊毛フェルトを注文しよう!

……こうして、ama〇onから羊毛フェルトキットが届いた日から、「私のスペシャルウルトラスーパーハイパーなお守り作り」は始まったのである。

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