ハイキュー 『君の隣で』 | ナノ


3

名前「てっちゃーーん!」

黒尾「おっ、」


メンバーとアップをしていたてっちゃんに声をかければ、すぐにこちらに気づいて駆け寄って来てくれた。


名前「ドリンク作ってきたよ」

黒尾「ああ、犬岡と芝山から聞いてる。悪ぃな、仕事増やして」

名前「全然!こっちはマネが2人いるから平気だよ」


どうやら、さっきやって来た1年生は犬岡くんと芝山くんというらしい。
しかし、てっちゃんにドリンクを手渡していると、「ぬぅわあああああっ!!!」という叫び声が聞こえた。
何事かと声のしたコートの方を見れば、先ほど日向に突っかかっていたモヒカンの人が、衝撃を受けたような顔でこちらを見ていた。


?「く、クロさんがっ……女子と、知り合いだとぉ!!?ま、まさか……か、かかかのじょっ、」

黒尾「山本ー、試合終わったら走り込みな」

山本「す、すんません……」


山本、と呼ばれたモヒカンの人は、肩を竦めて謝っている。
やっぱりあの人、田中に似てる……。


黒尾「いやー悪いね、うるさいのがいて」

名前「あっ、ううん!うちにもうるさい人たちは結構いるから」

黒尾「ああ、その中に名前ちゃんも入ってるのか」

名前「……くっ、くそ、否定できないっ……」


大地さんから「うるさい」としょっちゅう怒られているため、あながち間違いではない (寧ろ正しい)。
うぬぬ、と唸る私を見て、てっちゃんはくつくつと笑っていた。
随分とイケメンに育ったな、おい。


黒尾「じゃ、俺戻るわ。ドリンクありがとう」

名前「あ、ううん!試合頑張ってね!」

黒尾「サンキュ。でも敵チーム応援していいわけ?」

名前「うぬあ、えええ……?」


からかうようなてっちゃんの一言に、思わず言葉に詰まった。
からかわれているのはわかるけど……。


名前「……確かに私は烏野のマネージャーだけど……烏野もてっちゃんも、どっちも応援してる。私にとってはどっちも大切だから。烏野のみんなは大切な仲間だし、てっちゃんは大切な従兄弟だよ」


ニッと笑ってそう伝えれば、てっちゃんは不意をつかれたような、驚いた表情になった。
そしてフ、と目を細めるてっちゃん。
その目は、ひどく優しかった。


黒尾「……変わらないねェ、名前ちゃんは」

名前「え、そう?」

黒尾「あ、身長の話ね」

名前「怒るよ、もう!」

黒尾「ごめんって、冗談冗談。じゃ、また後で」

名前「うん!」


去り際に、ぽんぽんと私を頭を撫でるてっちゃん。


山本「な、慣れてる……めちゃくちゃ女子の扱いに慣れてやがる、クロさん……!!」

黒尾「山本ー、試合終わったら俺んトコ来い」

山本「すっ、すんませんしたーーーっ!!!」


また余計なことを言ったらしく、モヒカン頭の人が全力で頭を下げていた。
私も試合の準備をすべく、烏野の方へ戻る。

……ノヤが、じっとこちらを見ていたとも知らずに。


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