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─── 5月4日。
烏養「音駒戦、スターティングオーダーはこれで行く」
そう言って烏養コーチがミニホワイトボードを全員に見せた。
ウイングスパイカー
澤村大地、東峰旭、田中龍之介。
ミドルブロッカー
日向翔陽、月島蛍。
セッター、影山飛雄。
リベロ、西谷夕。
私はチラリと隣のスガさんを見るが、彼は真っ直ぐな目でそのボードを見ていた。
烏養「顔合わせて間もない面子だし、そう簡単に息が合うとは思ってねえ。スゴ腕のリベロが入ったから、エースが戻ったから『よし勝てるぞ』ってなる訳じゃない。勝つのは、繋いだ方。この面子でどのくらい戦えるのか。"カラス" の宿敵、"ネコ" との勝負だ」
「「「あス!!」」」
今日も今日とて、ひたすら練習だ。
******
─── 5月5日。
夜にノートをまとめるためにビデオを撮りながら練習に参加していると、潔子さんが紙袋を2つ持って入ってきた。
一旦カメラを止めて、私は潔子さんの元へと駆け寄る。
名前「潔子さん、お帰りなさい!持ちますよ」
清水「大丈夫、ありがとう」
名前「そうですか……?」
武田「ああ、お帰りなさい!できた?」
清水「はい。クリーニングと直し、終わりました」
そう、潔子さんが持ってきたのは烏野のユニフォームである。
クリーニングしたばかりのユニフォームは、早速皆に配られた。
日向「うおおお!テレビで見たやつ!」
「10」と大きく書かれたユニフォームをキラキラと目を輝かせて見つめているのは、やはり日向だ。
いつの間にかノヤは着替えているし(あまりにも着替えるのが速すぎる)、日向は自分の背番号が憧れの "小さな巨人"と同じで「運命だ!」と大喜びしている。
まあ、ユニフォームがあるとテンション上がるよね!
烏養「ちなみに、日向が好きな"小さな巨人"がいた頃が、過去烏野が一番強かった時期だが……その頃烏野は、一度も音駒に勝っていない。負けっぱなしで終わっている。汚名返上してくれ!」
「「「あス!!!」」」
未知のチーム・音駒との試合はいよいよ明日だ。
私は胸をワクワクさせながら、再びビデオを回すのだった。
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