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─── 5月2日。
いよいよ今日からGW合宿が始まる。
烏養「四日後には音駒と練習試合、終わればすぐにIH予選がやって来る。時間がない、でもお前らは穴だらけだ。……勝つためにやることは一つ」
コーチの話をみんなは真剣な顔で聞いている。
烏養「練習、練習、練習。ゲロ吐いてもボールは拾え」
「「「オス!!」」」
日向「オーッス!!」
一際大きい返事をしたのは日向だ。
……日向はもうやってるらしいけどね(笑)
事情を知っている人達は日向を見て苦笑いしているし、私も日向が連続レシーブでリバースしたという話は田中からこっそりと聞いている。
その後はレシーブ中心の練習で、それが終わった後に全員で合宿用施設に移動した。
日向「うおおおっ、初めて来た!」
初めての合宿でテンションが上がっているのか、ぴょんぴょんと飛び跳ねて大はしゃぎしている日向。
その一方で私たちは、それなりに古い合宿施設を見上げていた。
山口「……なんか出そう」
名前「やめようか、ぐっちー」
月島「へー、苗字さんもしかしてそういうの苦手なんですかぁ?」
名前「なっ、そんなわけないでしょーが!」
西谷「……お前ホント昔から苦手だよな、こういうの」
名前「は、何言ってんの余裕だわこんなの」
バシッとノヤの背中を叩けば「痛えよ!」と怒られた。
一方、日向は合宿所を走り回って探検している。
練習の後なのに元気だなぁ。
影山「お前ちょっと落ち着け」
日向「だって!合宿って初めてだし」
月島「一日中むさ苦しい連中と顔つき合わせて何が楽しいのさ」
日向を咎める影山に、冷めた目をしているツッキー。
しかし、ツッキーのその言葉に反応したのはノヤと田中である。
西谷・田中「「月島テメェ!半径500m以内に潔子さんがいる空間はむさ苦しくねえんだよ!」」
2人のオーラが燃え上がっている。
……もしかして、潔子さんは泊まらないことを知らないのだろうか。
その事を伝えようか一瞬迷ったが、結局は迷う必要など無かった。
通りかかったスガさんが二人にトドメを刺してしまったのである。
菅原「清水は家近いから、用事終わったら帰っちゃうよ」
─── バタンッ……
衝撃の事実を知ったせいか、それを聞いた二人はそろって倒れ込んだ。
2人の顔はげっそりとしており、物凄いことになっている。
名前「ちょっとー!私はいるんだから元気出しなよー!」
田中「……(真顔)」
名前「いや顔やばwww」
西谷「……」
名前「おい少しは喜べよ!!」
華がないのはわかるけども!
ここまで露骨に対応の差があると、ちょっと腹が立つものである。
とりあえず夕飯の準備を手伝わなければならないため、私は持っていた大きいバッグを田中に預け(無理やり)、先に準備をしてくれていた潔子さんと武ちゃんの手伝いに加わった。
今日の夕食は合宿定番のカレーである。
全員分を米とカレー共に大盛りで皿に盛り付けて、全員の席に配る。
もちろん自分の分も大盛りである。
全員分大盛りにしてもまだ余っているようなので、かなり大量に作ったらしい。
大地さんの号令に合わせていただきますをし、次の瞬間には勢いよくカレーを掻き込むのは田中とノヤと私だ。
カレー美味い!!サラダも美味い!!ゆで卵美味い!!
澤村「そんなに慌てて食わなくても、カレーは逃げないだろ」
菅原「相変わらず凄い食欲だなー」
名前「こんなに大量のカレー食べられる日なんて滅多にないですから!!」
月島「うわ……」
名前「ちょっと、なんで引いてんのツッキー!!」
西谷・田中「「潔子さん!!お代わりお願いします!!」」
名前「あっ、私も私もーっ!!」
大地さんに呆れられ、スガさんには苦笑いされ、ツッキーには明らかに引いた目をされるけど、そんなことは今更気にしない。
ノヤと田中の元気な声が聞こえてきたので、カラになった皿を持って私もお代わりの列に並んだ。
そしてみんなで楽しく夕飯を食べた後は潔子さんと武ちゃんと私の3人で後片付け。
途中で帰宅する潔子さんを見送ってから、武ちゃんと2人で明日の朝ご飯の仕込みをしておく。
そしてみんなが風呂に入っている間に洗濯も終わらせて、今日の仕事は終了だ。
お疲れ様でしたと武ちゃんに挨拶をして、私は疲れを癒しにお風呂へ向かうのだった……。
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