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菅原「名前」
呼ばれて振り返れば、そこにはまたニコニコ天使のスマイルのスガさんが。
菅原「……まだあるべ?旭に」
名前「えっ……あっ!!!」
彼の言葉で、ずっとバッグに入れて持ち歩いていたサポーターの存在を思い出す。
声を上げれば、スガさんは「はい」とバッグを手渡してくれた。
私は慌ててバッグの中を漁り、ラッピングされたサポーターを取り出した……のだが。
……え、まってどうしよ。
バッグの中から出てきたのは、ラッピングがシワだらけになったサポーター。
やばい。毎日持ち歩いてたり握り締めたりしちゃったから、包装用紙がしわしわになってる……。
え、これホントにあげるんか私!?
名前「やっ……やっぱりまた今度にっ、」
菅原「旭〜!名前が旭に仲直りのプレゼントだって!!」
名前「イヤーーーーーッ!!?」
しれっと旭さんに声をかけるスガさん。
すっ、スガさんの鬼!!
今はダークエンジェルすら飛び越えてデビルに見える!!(涙)
……だけどネタバレされてしまった以上、隠すこともできない。
私は諦めて、旭さんにおずおずとサポーターを差し出した。
名前「……あの、これ……旭さんのサポーターそろそろ替え時かなって……だからその、よかったらどうぞ……」
東峰「えっ……お、俺に?いいの?」
名前「……あ、う……でもすみません、ずっと持ち歩いてたからラッピングがぐちゃぐちゃになっちゃって、」
東峰「名前」
その瞬間、私は旭さんにぐいっと腕を引かれた。
名前「え、」
鼻を掠めるのは、大好きな香り。
気づけばそこは、旭さんの腕の中。
名前「……え、ちょ、え」
東峰「ありがとう、名前」
名前「〜〜〜っ!?///」
ボフンッと音を立てる勢いで、私の顔に熱が篭った。
みぎゃああああああああああ!!!!!(声にならない叫び)
ほ、ほ、細谷さんボイスが耳にいいいいいい!!!(メタ発言)
名前「ちょ、旭さん待っていろいろやばいですっ!!!」
うわああああああ!!!!
いっつもいろんな人(特に旭さん)に抱き着いてたけど、逆にハグされるとめっちゃハズイ!!!!!
私に抱きつかれてた人、いつもこんな気持ちだったんか!!!すまねえ!!!
東峰「本当にありがとう。嬉しいよ」
名前「う、あ……はい……」
何だかめちゃくちゃ恥ずかしいけど……。
背中に回された旭さんの腕は力強くて、私をみんなと繋ぎ止めてくれているみたいで、凄く嬉しい。
澤村「はい、そこまでにしようか」
菅原「旭だけそれはズルいべー?」
恥ずかしさよりも嬉しさが上回り、せっかくなのでハグをし返そうと腕を伸ばす。
しかしその瞬間、ベリッと効果音が付きそうな勢いで旭さんからはがされた。
東峰「……あ (汗)」
私の肩を掴んでいるのはスガさん、旭さんの肩を掴んでいるのは大地さんだった。
2人は笑顔だけど、オーラが黒く見える。
何事!?怖いんだけど!!?
菅原「旭、約束は守ろうな……?」
澤村「手は出さないって約束だったよな……?」
東峰「……す、すみません……(汗)」
手は出さない……?
一体何の話だ?
大地さんとスガさんに囲まれて、縮こまっている旭さん。
3人の中では身長は一番大きいはずなのに、なぜか小さく見える。
烏養「先生……今の高校生って、あんなスキンシップ激しいのか……?」
武田「あ、あはは……」
月島「西谷さんもしてもらってきたらどうですかぁ?」
田中「ブフッwww」
西谷「ばっ、月島テメェ何言ってんだよ!!」
名前「え、何?ノヤもハグする?」
西谷「んなっ……す、するかバカ!!!」
名前「ひどい!そんなに拒絶せんでも!!」
月島「せっかくのチャンスじゃないですかぁ、西谷さん」
西谷「月島テメェ、説教してやる!屈め!!」
……ああ、すごく心地がいい。
みんなが戻ってきたのと共に、私も戻ってきたんだ。
やっと、また繋がった。
─── この場所が、みんなが、本当に大好きだ。
(あれ、そういえばスガさん、何でサポーターのこと知ってたんですか?)
(俺は名前のことなら何でもお見通しだからなー)
(スガさん大好き愛してる)
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