ハイキュー 『君の隣で』 | ナノ


1

西谷「 ─── んローリングッサンダァァァァ!!」


スクイズボトルを抱えて体育館に入れば、くるんと体を一回転させてレシーブを決めるノヤが目に入った。
何事かとみんなの視線が集中するが、当の本人は得意気な顔をしている。
今日もノヤは絶好調のようだ。


菅原「……あっ、うん。ナイスレシーブ」

田中「ブッハハハハ!ただの回転レシーブじゃねーか、サンダーどこ行った!」

影山「何で叫んだんですか?」

月島「何……今の」

山口「ブフーッ」

名前「ぷっ、あはははは!ネーミングセンスどしたwww」

西谷「影山・月島・山口・名前!まとめて説教してやる、屈め!いや座れ!俺の目線より下に来い!」

名前「ちょっとー、田中はー!?」

田中「うおい巻き込むな!」

日向「教えて、ローリングサンダー教えてえええ」


今日も体育館は賑やかである。
普段から田中や日向、私が騒いでいるせいでうるさいけれど、そこにノヤが入ることで騒がしさは倍になるのだ。

するとそこへ、「お疲れ様ー!」と武ちゃんがやってきた。
大地さんの号令で集合すると、武ちゃんは嬉しそうに話し出す。


武田「みんな、今年もやるんだよね!?GW合宿!!」

澤村「はい、まだまだ練習が足りないですから」


ああ、もうそんな時期かと私は目を瞬かせた。
隣では日向が「合宿!!」とソワソワしている。
もしかして、日向は合宿初めてなのかな。
すると、大地さんの言葉を受けて、武ちゃんはニヤリと笑った。


武田「それでね……GW最終日、練習試合組めました!!」


……えっ、練習試合!?
驚いて目を見開けば、他のみんなもワッと盛り上がった。


名前「すごい!ホントですか!?」

田中「頼もしいな武ちゃん!!」

菅原「あ、相手は……!?」

武田「東京の古豪……音駒高校。通称 "ネコ "」


"落ちた強豪、飛べない烏" という異名を付けられた烏野とは、ここ最近はどこも練習試合などしてくれなかった。
青城は影山目的だったためイレギュラーな例だと思っていたが、まさかさらに練習試合を取り付けてくれるとは。
田中の言う通り、武ちゃんが物凄く頼もしい。

それに、音駒って……。
話には聞いたことがある、名勝負 "ゴミ捨て場の決戦" と。
前の監督同士が因縁のライバルだったのだとか。
実力も近く相性も良く、良い勝負になる事が多かったらしい。

しかし、それも今となっては昔の話。
交流があったのも前の監督同士の繋がりがあったからで、烏養監督が引退してからは疎遠になってしまったのだ。
それなのに、どうやって練習試合を取り付けたのか……。
だが「詳しいことはまた後で」と武ちゃんに言われたので、ひとまず頭を切り替える。


澤村「よし!せっかくの練習試合、無駄にしないように練習も合宿も気合入れんぞ!」

「「「「「「オース!」」」」」」

田中「東京かぁ!シティーボーイめ、けちょんけちょんにしてやるぜ!」

月島「シティーボーイって」

名前「シティーボーイwww」

田中「うるせぇ月島、名前コラァ!!」


田舎くさい田中の発言をからかいながらチラッと横を見れば、ノヤと大地さんが真剣な顔で何か話していた。
……練習試合のことだろうか。
旭さんが戻るまでは戻らないとノヤは言っていたし、内容は大体想像がつく。

私は、ノヤがどんな結論を出したとしても、彼を信じよう。
……そして、私は私のやるべきことをやらなければならない。

<< >>

目次
戻る
top
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
×
- ナノ -