ハイキュー 『君の隣で』 | ナノ


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バタンッと勢いよく扉を開けて慌てたように体育館の中に入ってきたのは、武ちゃんこと武田先生だ。
武ちゃんは今年からバレー部の顧問になった先生である。


武田「練習試合っ!!相手は県のベスト4!!青葉城西高校!!」

菅原「青城!?」


……ん?青葉城西高校???
聞こえてきた単語に、私ははたと動きを止める。
あれ、なーんか最近どこかで聞いたような……。


"及川「僕、青葉城西高校の及川徹って言うんだ」"

"及川「君の名前教えてほしいなー。どこの高校?」"



名前「……って、青葉城西高校おおおおおおおおおっっっ!?」

澤村「うるさい!」

名前「ぎゃむぐっ」


とある記憶が蘇って思わず叫べば、隣にいた大地さんに思いきり口を塞がれた。
あれじゃないか、先日私にナンパをしてきたサポーター野郎 (サポーターさんから昇格した)の学校じゃないか!!!
会ったらどうしよう、行きたくねぇぇぇ!

大地さんの手で口を塞がれてモゴモゴしていると、武ちゃんが目をパチクリさせてこっちを見てくる。


武田「あ、えーっと、どうかした?」

澤村「問題ありません、苗字です」

武田「そ、そっか。……あ、ただ条件があってね…」


武ちゃんそこは何かツッコんで!!
苗字が問題児みたいになってるよ!!

しかし武ちゃんは持っていた紙に視線を戻してしまった。
どうやら、青城と練習試合をするために何か条件を付けられたらしい。


武田「影山君をセッターとしてフルで出すこと」


その言葉を聞いた私は、ピタリと藻掻くのを止めた。
他のみんなも息を飲み、その場はしんと静まり返る。
大地さんの手の力が緩んだので、その隙に私はするりと抜け出した。

すると、田中が威嚇顔をしながら武ちゃんに詰め寄る。


田中「なんスかそれ。烏野自体に興味はないけど、影山だけはとりあえず警戒しときたいってことですか。なんスか、ナメてんスか。ペロペロですか」


よし、いいこと言ったぞ田中!!
便乗して「私もはんたーい!」と言いかけたが、隣の大地さんからものすごく黒いオーラを感じたのでやめました。


澤村「…あー、落ち着け。田中」

菅原「い…良いじゃないか。こんなチャンス、そう無いだろ」

田中「良いんスか、スガさん!烏野の正セッター、スガさんじゃないスか!」


そうだ。
今の烏野の正セッターはスガさん…。

烏野は部員が少なく、セッターもスガさんしかいなかった。
しかし今は影山が入ってきた。
必然的に行われるのは、正セッター争い……忘れていた感覚を取り戻した気がして、私はぐっと息を飲む。

しかしスガさんは、私の予想とは全く違う反応を見せた。


菅原「俺は、日向と影山のあの攻撃が4強相手にどのくらい通用するのか見てみたい」


スガさんは、そうはっきりと言い切った。


澤村「先生。詳細お願いします」


その気持ちを汲んでか、大地さんは先生に話を促す。
田中は複雑そうな顔をしながらも、武ちゃんの話に耳を傾けた。


─── 青城との練習試合は来週の火曜日とのことだった。
スガさんではなく影山をセッターとして出すのは何だか複雑な気分だが、それよりも私の頭にあるのはサポーター野郎のことである。

ああ、最悪だ。奴に会ってしまうかもしれない。
だが、もしかしたらあのサポーター野郎はバレー部ではないかもしれない。
他にもサポーター使う部活はあるだろうし。
……タッパがかなりあったのが気がかりだけど。
きっとバスケ部だ、バスケ部!!!

嫌な記憶を打ち消すように、私は記録用のノートを開いたのだった……。

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