ハイキュー 『君の隣で』 | ナノ


2

名前「 ─── うわ……どうしよ」


さっそくスポーツ店に来た私。
……だけど、いきなり頭を抱えることになった。

最後に私がサポーターを買ったのは2年以上前だったはず。
その時よりもサポーターの種類がかなり増えていて、正直どれがいいのかわからない。
その最後に買った時も、同じくバレー部だった私の友達に選んで買ってもらった。
要は、自分で買ったことが無いのである。

手触りとかでいけるんだろうか。
とりあえずその辺のサポーターをさわさわしてみる。
……うん、わからん。困ったぞ。

うぬぬ、とサポーターと睨めっこをしていると、


?1「 ─── サポーターならこれがオススメだよ」


突然目の前を大きな手が横切って、サポーターを1つ取った。


名前「……えっ?ああ、そうなんですか?」

?1「そうそう。値段もお手頃で伸縮性と通気性もいいし、汗に濡れても劣化しにくいみたい。何よりこの値段で2枚セットだからね」

名前「おお、確かにそれはお得ですね!なるほど、ありがとうございます!」


そのサポーターを受け取って触ってみると、ほほう、確かになんかいい感じ。
それに何より、2枚セットってお得!
うーん、せっかくだからこれにしてみようか。

そんな事を考えながらサポーターとにらめっこしていると、つんつんと肩を突っつかれる。


?1「……そんなにしかめっ面してると、可愛い顔にシワがついちゃうよ?」

名前「……はい?」


その時、私は初めて声の主を見た。

最初に目に入ったのはその人の顔ではなく、水色っぽい色のラインが入った白いジャージだった。
かなり長身の男の人のようだ。
なかなかタッパあるな、と私はその人を見上げる。

なんと、めちゃイケメンだった!!(* ̄ii ̄)

……しかし。


?1「だから、眉間にシワよせてないで笑った方が可愛いよって」

##NAME1#「っ!!?」


そう言ってその人は、私の眉間をツンっと突っついた。

─── ズザザザザザッ

私は咄嗟に後ずさり、その男と距離を取った。
な、何だこの男!スキンシップ激しすぎか!
イケメンは目の保養になるので好きだが、チャラ男は苦手だ。
私の本能にある警戒スイッチが即座にオンになった。


名前「な、な、なんですか急に!?」

?1「いや、可愛いなーと思って^^*」


そう言ってニコッと眩しい笑顔を向けてくるその男。
^^* じゃねーよ、笑うとさらにイケメンなの腹立つな。
このナンパ男はかなり積極的な部類のようで (ナンパをする時点で積極的なのかもしれないが)、グイグイと私に詰め寄ってくる。


?1「ねぇ、よかったら連絡先交換しない?」

名前「いらないです」

及川「僕、青葉城西高校の及川徹っていうんだ」

名前「いや、聞いてないです」

及川「君の名前教えてほしいなー。どこの高校?」

名前「話聞け」


なんだコイツは、と私は眉を顰める。
話を聞かないのが新手のナンパなのか?
今の若者はこんな男にホイホイついて行ってしまうのだろうか。
とりあえず、この人執拗い。

その間にも私は、サポーターに詳しいサポーターさん(名前を覚える気はない)に距離を詰められていく。
後ずさりをしているうちに、トンッと背中が壁に当たった。
まずい、逃げられない。
私はついに、パーソナルスペースにサポーターさんの侵入を許してしまう。

……だがその時、私は確かに見た。
ゴゴゴゴゴゴ…といかにも効果音が付きそうな勢いで、サポーターさんの後ろからどす黒いオーラを発している人を。


及川「ねぇ、時間ある?よかったらお話しない?」

名前「いや、それはちょっと」

及川「つれないなぁ、少しくらいいいじゃない。ね、彼氏いr」


─── ゴ ス ッ

次の瞬間、ものすごい勢いでサポーターさんの脳天に、華麗なるチョップが入った。
決めたのは、サポーターさんの後ろに立っている別の男の人。
さっきのどす黒いオーラはこの人か。


及川「いったぁ!岩ちゃん何すんのさぁ!!」

?2「……テメェはこんな所で何をやっているんだ……?」

及川「ギクゥッ」


"岩ちゃん" さんは相当お怒りモードらしく、サポーターさんは冷や汗をかいている。


?2「うちのバカが大変申し訳ないことをした」


そう言って、"岩ちゃん" さんは律儀に私に向かって頭まで下げてきた。
だから私も慌てて、


名前「あっ、いえ!お構いなく!」


と咄嗟に言って頭を下げる。
……お構いなく? この返しは適切なのか?


?2「うちのクソ川に何かされなかったか?大丈夫か?」


"岩ちゃん" さんはサポーターさんにヘッドロックを決めながら、私の身を案じてくれた。
イケメンかよこの人。
ていうかクソ川ってなんだろう。


名前「あっ、いえ全然!それよりすみません、サポーター選んでいただいちゃって。ありがとうございます」

及川「いい子だよ、この子絶対いい子だよ」


しまった、サポーターさんのこと庇ってるみたいになっちゃった。
初対面の人と話すと咄嗟に改まってしまうのだ。


?2「そうか。いや、いろいろとすまなかった」

名前「いやイケメンかよ」

?2「ん?」

名前「おっとすみません心の声が」


なんだか "岩ちゃん" さんは、「よくわからない」と言いたげな顔をしていたが、"岩ちゃん" さんはサポーターさんの首根っこを掴んでその場を去って行った。


及川「いたたたた! じゃ、またねーかわい子ちゃん!」


最後のは聞こえないふりをした。



(よく考えたら人生初ナンパじゃん、田中に自慢してやろ)

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