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「 ─── 絶対に私は死なないわ。だから私を信じて、待っていて」
そう言って渡された、紫のアネモネのペンダント。
行かないでと泣きついてそのお守りを貰ったあの日から、もう3年が経つ。
私は13歳になっていた。
─── 2週間前、突然お父さんが死んだ。
病気だった。
そして今日からお母さんは仕事に戻らなければならない。
嵐太と風優は、そんなお母さんに泣きついていた。
行かないで、いなくならないで、と。
その様子は、あの時の私と同じだった。
名前「……嵐太、風優」
お母さんに抱き締めてもらっている2人を、静かにこちらへ引き寄せる。
名前「大丈夫!お母さんは死なないよ。お母さん、すっごく強いもん!お母さんが約束破ったことないじゃない、すぐに帰って来てくれるよ」
目を真っ赤にして泣いている2人の顔をしっかりと見る。
大丈夫、大丈夫。
ほら、笑いなさい、私。
名前「だからお母さんを信じよう。一緒にお母さんを待とう。大丈夫、嵐太と風優は私が守るよ!」
ポロポロと涙を零しながらも頷く2人。
ごめんね、と謝る母の声が聞こえた。
─── "大丈夫だよ、大丈夫!"
もう何度その言葉を口にしただろう。
名前「……行ってらっしゃい、お母さん!」
さあ、今日も笑おう。
─── お母さん、貴方を信じているから。
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