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《名前 side 》
爆豪「 ──── やめろ、名前っっっ!!!!!」
突然頭を満たした声で我に返れば、鼻を掠める幼馴染みの香り。
一番最初に目に入ってきたのは、吹き荒れる風とヒビの入った地面、苦しむ敵の姿。
そして次に、見慣れた薄い金髪が視界に入る。
勝己に抱き締められているのだと気付くのに、随分と時間がかかった。
名前「 ──── っ!! かつ、き……?」
ポツリと、彼の名前を口にする。
すると、まるで何事もなかったかのように鎮まった風と地響き。
……ここで、ようやく理解が追いついた。
ああ、私は使ってしまったんだ、と。
あの、生き物を殺すための恐ろしい力を……。
ぐにゃり、と視界が歪み、体の力が抜けていく。
銃声と、勝己が私を呼ぶ声を耳にしながら、私は意識を失ったのであった……。
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