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切島「な、なあ爆豪!さっきモヤの対策もあるっつったよな?何だ?」
爆豪「あ゙?」
名前「うぐぐ……」
切島の背中が割り込んできたので、仕方なく勝己に突っかかるのを諦めた。
私をド〇キーコングかゴジ〇と言った罪は重いぞ勝己、後で覚えとけよ……!
勝己もチッと舌打ちをして説明を始める。
爆豪「……あのモヤゲート、ワープゲートになれる場所は限られてる。そのモヤで実態部分を覆ってんだよ」
切島「っ!……ってことは、つまりそこを抑えりゃいいんだな!?」
爆豪「……全身モヤの物理無効なら『危ねぇ』っつう発想にならねえ」
切島「そうか!やっぱりおめー、すげえな爆豪!!」
爆豪「うるせえクソ髪」
冷静に敵を分析する勝己を見て、目を輝かせる切島。
やっぱり勝己は敵をよく見てる。
それもあの一瞬の出来事でここまで分析できるなんて。
彼の天才ぶりにはやはり舌を巻くものがある。
切島も切島で、クソ髪という変なあだ名で呼ばれても怒らない懐の深さよ……。
もしかしたらこの二人、案外いいコンビになるかもしれない。
切島「じゃああの一番ヤバそうだった奴らに突っ込むってことだな」
爆豪「その方が手っ取り早えだろ」
切島「よし、わかった!ノッたぜその作戦!!」
再びガチンッと拳を打ち鳴らす切島。
彼の癖なのだろう。
すると、勝己の視線がギロリと私を射抜いた。
爆豪「おいクソ女。テメェは俺に乗って気温爆上げしてろや」
名前「……え、乗る?乗るって何?」
爆豪「ああ?俺に負ぶされっつってんだ、一発で理解しろや」
名前「え"」
爆豪「ンな露骨に嫌そうな顔すんじゃねえよ殺すぞ!!!」
思わず眉を顰めればギャンギャンと噛み付いてくる勝己。
だ、だって……。
勝己におんぶされるってことでしょ、それで敵に突入するのはさすがに嫌なんだけど!!?
爆豪「俺があちこち動き回ってたらテメェがターゲッティングし辛くなってスタミナ消耗すんだろうが、そのくらい察しろや!!」
どうやらちゃんと理由はあったらしい。
確かに私の個性はターゲットを限定する事ができる。
しかしそれを行うにはターゲットの半径10m以内に私がいなければならず、またターゲットの動きに合わせて私が個性を操作するので相手の動きについていけなければならない。
それに半径10m以内に相手がいても、距離があればあるほど体力を消耗してしまう。
動きの速い勝己に私も戦いながらターゲッティングするよりは、確かに彼におぶってもらって個性発動に専念する方が圧倒的にやりやすい。
名前「で、でも……私を背負ってたら動き辛くなるよ」
爆豪「ああ!?余裕だわクソが、舐めんな!!早よ乗れや!!」
名前「は、はいはい」
慌てて勝己の背中に飛び乗る。
ふわふわと、彼の髪が私の頬をくすぐった。
ダイエットしておけばよかったと今更ながらに後悔した。
なんだろう、余計な恥をかいてる気がする……!
爆豪「振り落とされんなよ、置いていくからな」
名前「わかってるよ」
爆豪「おいクソ髪!さっさと行くぞ!!」
切島「お、おう!けどよ、」
「お前ら、やっぱり仲良いな!」と言って笑った切島に、勝己が青筋を立てたのが見えた。
勝己が怒鳴る1秒前。
察知した私は慌てて耳を塞ぐのだった……。
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