第一章 中学時代〜USJ襲撃事件 | ナノ


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?1「13号にイレイザーヘッドですか……。先日いただいた教師側のカリキュラムでは、オールマイトがここにいるはずなのですが……」

相澤「やはり先日のはクソどもの仕業だったか」

?2「どこだよ……せっかくこんなに大衆引き連れて来たのにさ。オールマイト……平和の象徴……いないなんて」



聞こえてくる敵の会話に徐々に状況を理解し始めたのか、皆は警戒心と恐怖で完全に固まっていた。

それは、私も同じだった。



?2「子供を殺せば来るのかな」



突き刺さるのは、感じたことが無いほどの悪意。

全身に鳥肌が立つのを感じた。



切島「敵!?バカだろ!?ヒーローの学校に入り込んでくるなんてアホすぎるぞ!」

八百万「先生、侵入者用センサーは!?」

13号「もちろんありますが……!」



どうやら、センサーが反応していないらしい。

ということは……。



轟「現れたのはここだけか、学校全体か……。何にせよ、センサーが反応しねーなら向こうにそういうこと出来る個性がいるってことだな」



冷静に分析しながら敵を見下ろすのは轟だった。

彼の言葉に全員が顔を引き攣らせ、呆然と広場に現れた敵を見る。



轟「校舎と離れた隔離空間、そこにクラスが入る時間割……。馬鹿だが阿呆じゃねえ。これは何らかの目的があって、用意周到に画策された奇襲だ」



轟の言葉に、私はゴクリと唾を飲み込む。
その音がいやに大きく聞こえた。

……そういえばさっき、オールマイトがいないとか何とかって言っている声が聞こえたような。
ということはまさか、狙いはオールマイト……?


様々な考えを頭の中で巡らせていると、私達の前に相澤先生が立った。

それはまるで、私達を守るかのような背中。



相澤「13号、避難開始!学校に連絡試せ!センサーの対策も頭にあるヴィランだ、電波系の個性が妨害している可能性もある。上鳴、お前も個性で連絡試せ」

上鳴「ッス!」



テキパキと指示を出す相澤先生。

そんな彼に声を上げたのは、出久だった。



緑谷「先生は!?まさか、1人で戦うんですか!?あの数じゃ、いくら個性を消すって言っても!イレイザーヘッドの戦闘スタイルは敵の個性を消してからの捕縛だ!正面戦闘は……!」

相澤「一芸だけじゃヒーローは務まらん」

緑谷「っ!」



先生の言葉に息を飲んだ出久。

相澤先生は13号先生に「任せた、13号」と声をかけ、彼が頷いたのを見て敵の前に飛び出していった。


相澤先生は飛び込んで行くなり首に巻いている布を使って次々と敵を倒していく。
その手際の良さには目を見張るものがあった。

その姿に思わず見入っていると、ガシッと腕を掴まれる。



爆豪「何してんだアホ、さっさと行くぞ」

名前「わっ……」



私の手を掴んだのはもちろん勝己だ。
引っ張られてつんのめりそうになりながらも、慌ててついて行く。

出口に向かってみんなと共に急いで走っていた、その時だった。



?1「させませんよ」

13号「っ!!」



目の前に、黒いモヤが現れた。
そのモヤは私達の行く手を阻むように広がっている。

驚いて立ち止まれば、勝己が私を庇うように前に立った。



?1 「はじめまして、我々は敵連合。僭越ながらこの度ヒーローの巣窟、雄英高校に入らせていただいたのは、平和の象徴オールマイトに息絶えていただきたいと思ってのことでして」



私達は愕然としてその黒いモヤの言葉を聞いていた。

オールマイトに息絶えてもらう……!?
そんなこと、こんな奴らにできるわけが。


そう思った時、ふと先程の轟が言っていた「馬鹿だが阿呆じゃねえ」という言葉を思い出す。
これは、用意周到に画策された奇襲だと。

ということはまさか、本当にオールマイトを倒す算段があるの……?



?1 「本来ならばここにオールマイトがいらっしゃるはず。ですが、何か変更があったのでしょうか?……まぁ、それとは関係なく、私の役目はこれ……」



そう言うと、モヤがぶわっと全体に広がり始めた。

その瞬間視界の端に映ったのは、13号先生のコスチュームの指の先端が開く様子。

あれは、ブラックホールの……!


そう思った時だった。



爆豪・切島「「うらああああああっ!!!」」

13号「っ!!」

名前「勝己、切島!!駄目っ!!」



13号先生の邪魔になってしまうと思い慌てて2人を止めるが、その時にはもう遅い。
私の目の前から姿を消したかと思うと、勢いよく飛び上がった2人。

切島は腕を硬化させて殴りかかり、勝己は大きな爆破を起こした。

爆破のせいで、私達は黒い煙に包まれる。



切島「その前に俺たちにやられることは考えてなかったか!?」



完全に倒した感触があったのだろう。
二人は不敵に笑っていた。

しかし……。



?1「危ない危ない……」

爆豪・切島「「!!?」」

?1「そう、生徒といえど優秀な金の卵……」



煙が晴れてくるのと同時に見えたのは、あの黒いモヤ。

攻撃が、効いてない……!?
奴には物理攻撃が通用しないのか!?



13号「ダメだ、どきなさい2人とも!」

?1「私の役目は、貴方達を散らして嬲り殺す!!!」



13号先生が叫ぶのと同時に、私達は黒いモヤに包まれた。

一体何なの、このモヤは……!
それに今、「散らす」って言った?

ということは……。



名前「……っ、かつ、き!!」

爆豪「っ!名前!!」



私は、勝己の傍にいた方がいい。
私がいれば、彼の個性はさらに強力になるから。


視界の悪いモヤの中を何とか歩き、少し前にいるであろう彼に手を伸ばした。

伸ばした手は即座に掴まれて引っ張られ、私の体はぎゅっと抱き締められる。
見なくてもわかる、これは勝己だ。

そして私が彼にしがみついたのと同時に、地面が無くなる感覚。



名前「うわあああっ!!?」

爆豪「っ、くっそ……!!」



私達はお互いに抱き合ったまま、真っ逆さまにどこかへ落ちていく……。

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