第一章 中学時代〜USJ襲撃事件 | ナノ


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13号「皆さん、待ってましたよ!」



目の前に立つ人を見て、皆の目が輝く。

勿論私もその中の1人だ。



緑谷「スペースヒーロー、13号だ……!災害救助で目覚ましい活躍をしている紳士的なヒーロー!」

麗日「私好きなの13号!」



出久の言った通り、13号先生は災害救助で活躍するヒーローだ。

私のお母さんも災害救助を主な仕事として行っているため、13号先生には何度かお会いしたことがある。
13号先生のことは私も大好きだ。

案内されて中に入れば、その中はまるでテーマパークのような施設になっていた。



切島「すっげえ、USJかよ!」



構造は確かにUSJのようになっていて、凄く広い施設だ。

救助を行うのであろう場所がアトラクションのように見える。



13号「水難事故、土砂災害、火事、etc……あらゆる事故や災害を想定し僕が作った演習場です。その名も、ウソの事故や災害ルーム!略してUSJ!」

全員『『『本当にUSJだった!!』』』



そんな事を思っていると、何やら話している相澤先生と13号先生。

どうやら、急遽オールマイトが来られなくなってしまったらしい。
理由はよくわからないけど……。



相澤「仕方ない、始めるか」

13号「えー始める前にお小言を1つ2つ……3つ、4つ、5つ、6つ、」

全員『『『増える……!』』』



少しずつ増えていくお小言にげんなりとする私達だったが、まず始まったのは13号先生の個性の説明だった。



13号「皆さんご存知だと思いますが、僕の個性はブラックホール。どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます」

緑谷「その個性でどんな災害からも人を救い上げるんですよね」

13号「ええ……しかし、簡単に人を殺せる力です。みんなの中にもそういう個性がいるでしょう」



その言葉に、ドキリと心臓が跳ねた。

周りも先程までの浮ついた空気が無くなり、シンと静まり返っている。



13号「超人社会は個性の使用を資格制にし、厳しく規制することで一見成り立っているように見えます。しかし一歩間違えれば、容易に人を殺せる行き過ぎた個性を個々が持っていることを忘れないでください」



彼の言葉に、服の中にしまい込んだペンダントをぎゅっと握りしめた。

……そんな私の様子を勝己と轟が横目で見ていたことなんて、全く気が付かなかった。



13号「相澤さんの体力テストで自身の秘めている可能性を知り、オールマイトの対人戦闘でそれを人に向ける危うさを体験したかと思います。この授業では、心機一転!人命のために個性をどう活用するかを学んでいきましょう。君たちの力は人を傷つけるためにあるのではない。救けるためにあるのだと、心得て帰ってくださいな」



13号先生のお小言というか最早演説のような語りに、皆は目を輝かせていた。

「ご清聴ありがとうございました」と礼をする13号に、ワッと歓声が湧き上がる。

私も13号先生にパチパチと拍手を送った。



相澤「……よし、そんじゃまずは、」



いよいよ救助訓練が始まる。

これも、お母さんが通った道……!
ぎゅっと拳を握りしめた時だった。


バチバチバチッと音がして、USJ内の照明が消え始めた。

皆は何だ何だ、始まったのかと上を見上げていたが、私の視線はそこではなかった。


施設の、少し奥。
噴水のど真ん中に現れた、黒いモヤ。

それを見た瞬間、ゾクリ、と全身に鳥肌が立った。



名前「……か、つき」

爆豪「あ?」

名前「あ、あれ……」

爆豪「……んだ?あれ……」



震える指で黒いモヤを指差せば、怪訝そうに眉を顰める勝己。

なんだろう、凄く寒い。
体がカタカタと震えてしまうほどに。

相澤先生に視線を送れば、彼もまた私と同じ場所を睨みつけていた。



相澤「ひとかたまりになって動くな!!13号、生徒を守れ!!」

切島「……何だありゃ?また入試の時みたいな、もう始まってんぞパターン?」



モヤの中からは、続々と人が出てくる。

彼らはゆっくりとこちらに歩いてきていた。



相澤「動くな!!」



動き出そうとした私達に、鋭い声が飛んでくる。
気付けば相澤先生は臨戦態勢である。

……ということは、まさか。



相澤「あれは、敵だ」

全員「「「っ!!?」」」



全員が息を飲んだ。

奇しくもそれは命を救える訓練の時間に、私達の前に現れたのである。

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