第一章 中学時代〜USJ襲撃事件 | ナノ


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名前「いてて……ごめん切島、逃げられちゃった!」

切島「いや、大丈夫だ!ナイスだったぜ、すげえなお前!」

蛙水「やられたわ、名前ちゃん凄く強いのね。個性もそうだけど、その棒の使い方は慣れてる人のものだわ」

名前「へへへ、ありがとう!実は剣術道場に通ってるんだよね、だから剣は得意だよ!これは棒だけど」

切島「お前本当にいろいろすげえな……ギャップつーかなんつーか……」

名前「ありがと!とりあえず瀬呂に連絡するね」



恐らく常闇は一人で核の所へ向かうはず。

瀬呂に知らせなければ。



名前「もしもし、瀬呂?ごめん、常闇だけ逃がしちゃった」

瀬呂《あいよ!ようやく俺の出番だな!》

名前「すぐ切島とそっちに向かうから、それまでお願い!」

瀬呂《任せとけって!》



瀬呂と連絡を取り終え、通信機から口を離す。

体感ではもう10分近くが立っていると思う。



切島「多分残り時間は5分かそれより短いよな……。こりゃ常闇確保するより核を守った方がいいかもな」

名前「うん。それに常闇の個性、正面から突っ込めば返り討ちにされちゃうし……。そうしよっか、早く行こう。これに乗って」

切島「うおっ、なんだこれいつの間に!!?」



天井付近で先程からこっそり作っていた雲を引き寄せる。
戦闘中は誰しも目の前の相手に釘付けになるから、上で作っておくと割とバレないのだ。

出来た雲を触ってみる。
……うん、2、3人なら余裕で乗れる、上出来!



名前「1回外に出て窓から核の所に行こう。階段駆け上がるよりも雲のほうが早いよ」

切島「お、おう!」



恐る恐るといった足取りで雲に乗る切島。
私も彼の後ろに飛び乗るのと同時に雲を上昇させ、窓から外に出た。

強風を発生させれば高速での移動も可能だ。
名付けて空飛ぶジェットコースター!!



切島「うおおおおっ!すげぇ!楽しい!!」

名前「あはは、どう?誰もが一度は夢見る雲乗り体験!」

切島「俺、マジでこれガキの頃からの夢だったんだよ!風花ってあれだな、孫悟空みてーだな!」

名前「オッスオラ悟空!ワクワクすっぞ!」

切島「悪ぃそっちじゃねぇ」

名前「あれ?」



楽しそうな笑顔を見せてくれる切島に、こちらもつられて笑顔になる。

ちょっとふざけながらも、空を飛んで核のある部屋の窓の横に着く。
そうっと中の様子を見ると、テープで近づきにくいようになっている核と黒い影が見えた。



名前「やばい、もう常闇が核のところにいる!」

切島「うお、マジか!よっしゃ、こっから飛び降りるぞ!!」

名前「飛び降りる!?でも、窓が……」

切島「おいおい、俺の個性は硬化だぜ?この窓ぐらい破っていける!それに不意打ちだったらいくら常闇でもすぐに対処できねえだろ」

名前「あ、そっか!まさか窓から私達が飛んでくるとは思わないだろうし……うん、それでいこう」



残り時間はもうほとんど無いはず。

ちょっと乱暴だけど妥当な作戦だ。



切島「よし、行くぜ!ガラスが当たっちまうからな、お前は俺の背中に隠れてろよ」

名前「何それかっこいい」



気づかれないよう、でもなるべく窓の近くに移動した。

切島が身体を硬化させて両腕を顔の前に交差させたのを見て、私は雲を操作する。

突風を発生させ、勢いよく窓を割って部屋に飛び込んだ。


────ガシャアアアンッ!!!



切島「うおらあああああっ!!!」

名前「お待たせーーーっ!!!」

常闇「っ!!?」

瀬呂「うおっ、一体どっから来てんだよお前ら!!つかなんだその乗り物!?」

名前「細かいことは後でね!行くよ切島!!」

切島「おうよ!!」



切島と一緒に雲から飛び降りて、二人がかりで常闇を押さえつける。
その隙に瀬呂のテープで拘束もできた。

めっちゃ便利だ瀬呂の個性!!


その瞬間にタイムアップの合図が鳴った。

結果は私達の勝利。
粘り勝ちだ。



名前「やったー!お疲れ二人とも!ありがとね!」

瀬呂「おう、お疲れ。お前ら、随分と派手な登場だったなー」

切島「入口は作るもんだぜ!!」

名前「かっこいい!」



そんな会話をしながら皆でモニタールームに戻る。

切島、セリフがいちいちカッコイイなおい。

そしてモニタールームに入るなり、わっと歓声が上がって数人に詰め寄られた。



耳郎「名前、あんためっちゃ強いじゃん!」

八百万「棒が剣に見えましたわ、素晴らしかったですわ!」

麗日「うんうん!ズバーンズドーンッて感じでかっこいい!!」

名前「え!?い、いやー、あはは……」



こんなに褒められたことはあまり無かったので思わず照れてしまう。

講評でも割と褒められて嬉しかった。


……だからこの時は、彼のことはすっかり頭から抜けてしまっていたんだ。

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