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《名前 side 》
今日の楽しみといえば、午後のヒーロー基礎学!
午前中の意外にも普通すぎる退屈な授業を耐え抜き、いよいよその時間がやってきた。
オールマイト「わーたーしーがー!!普通にドアから来たーーー!!!」
何で楽しみにしてたかっていうと、これが理由。
ヒーロー基礎学の先生をしてくれるのは、皆の憧れ・オールマイトだからだ。
おおおっ!と湧き上がる歓声。
本当に雄英の先生やってたんだ、すごい!!
授業の内容は、初日にも関わらずいきなり戦闘訓練。
事前に学校側に作ってもらっていたコスチュームに着替えてグラウンドに行くことになった。
名前「お茶子、響香!更衣室行こ!」
耳郎「うん」
麗日「行こ行こ!」
蛙水「私もいいかしら」
名前「もちろん!せっかくだし皆で行こうよ!」
芦戸「さんせーい!!」
今朝、予鈴がなる前に女子には全員話しかけている。
なんかもう、みんな顔面偏差値が高くて眼福だった。
私のコスチュームもだけど、みんなのコスチュームはどんな感じなのかなー!
蛙水「張り切ってるわね、名前ちゃん」
名前「もちろん!みんなのコスチューム見るのが楽しみなんだ!」
話しかけてくれたのは蛙水梅雨ちゃん。
梅雨って呼んだら「梅雨ちゃんと呼んで」って言われたため、私にしては珍しくちゃん付けだ。
みんなにも言っているみたいだし、何か理由があるのかな?
ワクワクしながら更衣室に向かい、早速着替えてみる。
名前「おー!いい感じ!良かったー」
私が出した要望はデザインと、「とにかく軽く!」という条件のみ。
個性の性質上、それ程服装は影響しないからだ。
私のコスチュームは紺色のふんわりとした膝丈ワンピースと黒いタイツ。
派手なデザインは好きじゃないし動きやすさ重視のため、シンプルなワンピースだ。
腰にはウエストポーチを付けており、ここには応急処置の道具が入っている。
私服でも通用するようなコスチュームである。
改良も出来るらしいし、とりあえず使ってみなければわからないな。
そして、周りはどんな感じかなぁと見渡して……。
名前「うおおっ!!?ヤオモモとお茶子のコス、えろっ!!!」
目に飛び込んできたのはなかなか刺激的なコス。
というかみんな、全体的に体のラインにぴったりだ。
その中でも刺激が強いのはヤオモモこと八百万百と、お茶子のコスチューム。
八百万「個性の都合で露出は高い方がいいんですの。逆に露出がないと服がビリビリに破れてしまいますわ」
名前「それはそれでかなり刺激的……!」
ナイスバディのヤオモモのコスチュームは、とにかく出せるとこは出しとけ!みたいな。
男子高校生には刺激が強そうだ。
麗日「要望ちゃんと書かなかったらこうなった……」
名前「めっちゃ体にピッタリ……」
麗日「それは言わんといてー!」
お茶子のコスは本当に体のラインにぴったり。
露出はほとんど無いのに何故だろう、えろい。
ヤオモモはコスチュームを着ても堂々としているけど、お茶子は恥ずかしさからか顔を真っ赤にしている。
余計やらしい、そして可愛い。
耳郎「いや、ウチから見ればあんたも結構えろいけど……」
名前「えっ、そうかな?普通のワンピースだけど……」
耳郎「なんて言うか、それが逆に?」
名前「マジか」
確かにみんなはコスチュームっぽいコスチュームを着ている。
私服でも通用するようなこのワンピースは逆に目立つかもしれない。
それを言ったら、響香のコスチュームもほぼ私服だけどね。
とりあえず皆着替えたみたいだし、グラウンドにレッツゴーだ!!
首元でキラッと光るアネモネをコスチュームの中にしまい込み、私はみんなの後を追って更衣室から出たのだった。
グラウンドに行けば、既に数名の男子の姿があった。
その中に勝己の姿を見つけたので、背中に飛びついてみる。
名前「わっほい勝己!!いいねそのコス、なんか敵っぽくて強そう!!」
爆豪「あ゙あ゙!!?」
ふざけて声をかければ鬼の形相で睨まれた。
おおお、こわっ!!
名前「ねえごめん嘘だって!めっちゃいいじゃん、すっごくかっこいいよ!」
爆豪「うるせえ騒ぐな!!あと離れろやクソ女!!」
名前「なになに、照れてんの?」
爆豪「殺すぞテメェ」
名前「ごめんなさい!」
昨日の勝己の様子が気になったけれど、今日は通常運転のようだ。
良かった良かった。
これからも大丈夫だといいんだけど……。
名前「ところでこの腕はわざと?私に触らせようとしてるの?これ見よがしに上腕見せつけて」
爆豪「触るなキメェ」
名前「いだだだだ!ちょ、嘘だって!マジで引かないでよ!」
実は上腕フェチの私。
勝己の上腕に触ろうと手を伸ばしたら思い切り掴み上げられた。
痛い痛い痛い痛い!
それに珍しくドン引きされた、酷い。
マジで引いてる目だったよ、蔑みの目だったよ今の……。
そんな中、聞き覚えのある足音が聞こえてきた。
名前「おっ、出久じゃん!」
麗日「デク君!!」
やってきたのは緑のコスチュームに身を包んだ出久。
そういえば、お母さんがジャンプスーツを買ってくれたって言ってたな。
さっすが出久のお母さん、緑を選ぶとはよくわかってる!出久には緑が一番似合うもんね。
緑谷「名前ちゃん、麗日さ……って、うおおおっ!!?」
麗日「かっこいいね、地に足着いた感じで!」
私とお茶子が声をかければ、出久は挙動不審になった。
何故だろう、顔が見えないのに真っ赤になっているのが目に見える。
お茶子のコスは刺激強いからなー。
名前「そのツノっぽいのいいじゃん!オールマイトリスペクトでしょ!?」
緑谷「え、わ、わかった!?」
名前「わかるわかる!そんでそのデザインはオールマイトの歯かな!?」
緑谷「そうなんだ!いつも笑顔で人を助ける、オールマイト!!」
名前「やっぱり!すっごく似合ってるよ、かっこいい!」
グッと親指を突き立てて笑うと、出久はへにゃへにゃと照れて笑い出した。
相変わらずこの子は、褒められ慣れてないんだから……。
──── 初めての対人戦闘訓練は、ヒーローと敵に分かれて2対2で戦うチーム戦だった。
といってもこのクラスは21人だから、どこかの組が3人になってしまうが。
敵は核兵器を所持しており、ヒーローがその処理をするという状況設定だ。
ヒーローは時間内に核兵器を回収するか、敵を捕まえるかしなければならない。
敵は制限時間内で核兵器を守るか、ヒーローを捕まえる。
なんとも規模がアメリカンだ。
チーム決めはくじ引き。
私が入るチームは……。
名前「切島ーっ!一緒じゃんよろしく!」
切島「おっ、風花か!よろしくな!」
瀬呂「俺は瀬呂範太だ、よろしくな」
名前・切島「「よろしく!!」」
チームJで、切島と瀬呂と同じだった。
まさかの自分が3人チームになるとは。
そして次のくじ引きは対戦相手を決めるもの。
最初に対戦するのは……。
オールマイト「最初の対戦相手はコイツらだ!Aコンビがヒーロー、Dコンビが敵だ!」
緑谷・爆豪「「っ!!」」
オールマイト「他の者はモニタールームに向かってくれ!」
全員「「「はいっ!!!」」」
息を飲んだのは出久と勝己。
Aコンビは出久とお茶子のチームで、Dコンビは勝己とロボ眼鏡君のチームだ。
まさかの幼馴染み対決!?
ちらりと2人の様子を見れば、勝己は思い切り出久のことを睨んでいるし、出久はそれ怯えていた。
だ、大丈夫かな……?
勝己は昨日の出久の件もあるし、いろいろ爆発しなきゃいいんだけど……。
切島「風花、どうした?行こうぜ」
名前「……えっ、あっ、ごめんごめん!行こ!」
なんだか不安が残るけど、指示には従わなければならない。
私は後ろ髪引かれる思いでモニタールームへと向かった。
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