第一章 中学時代〜USJ襲撃事件 | ナノ


2

《名前 side 》


今日の楽しみといえば、午後のヒーロー基礎学!

午前中の意外にも普通すぎる退屈な授業を耐え抜き、いよいよその時間がやってきた。



オールマイト「わーたーしーがー!!普通にドアから来たーーー!!!」



何で楽しみにしてたかっていうと、これが理由。
ヒーロー基礎学の先生をしてくれるのは、皆の憧れ・オールマイトだからだ。

おおおっ!と湧き上がる歓声。
本当に雄英の先生やってたんだ、すごい!!

授業の内容は、初日にも関わらずいきなり戦闘訓練。
事前に学校側に作ってもらっていたコスチュームに着替えてグラウンドに行くことになった。



名前「お茶子、響香!更衣室行こ!」

耳郎「うん」

麗日「行こ行こ!」

蛙水「私もいいかしら」

名前「もちろん!せっかくだし皆で行こうよ!」

芦戸「さんせーい!!」



今朝、予鈴がなる前に女子には全員話しかけている。

なんかもう、みんな顔面偏差値が高くて眼福だった。
私のコスチュームもだけど、みんなのコスチュームはどんな感じなのかなー!



蛙水「張り切ってるわね、名前ちゃん」

名前「もちろん!みんなのコスチューム見るのが楽しみなんだ!」



話しかけてくれたのは蛙水梅雨ちゃん。

梅雨って呼んだら「梅雨ちゃんと呼んで」って言われたため、私にしては珍しくちゃん付けだ。
みんなにも言っているみたいだし、何か理由があるのかな?

ワクワクしながら更衣室に向かい、早速着替えてみる。



名前「おー!いい感じ!良かったー」



私が出した要望はデザインと、「とにかく軽く!」という条件のみ。
個性の性質上、それ程服装は影響しないからだ。

私のコスチュームは紺色のふんわりとした膝丈ワンピースと黒いタイツ。
派手なデザインは好きじゃないし動きやすさ重視のため、シンプルなワンピースだ。

腰にはウエストポーチを付けており、ここには応急処置の道具が入っている。
私服でも通用するようなコスチュームである。

改良も出来るらしいし、とりあえず使ってみなければわからないな。


そして、周りはどんな感じかなぁと見渡して……。



名前「うおおっ!!?ヤオモモとお茶子のコス、えろっ!!!」



目に飛び込んできたのはなかなか刺激的なコス。
というかみんな、全体的に体のラインにぴったりだ。

その中でも刺激が強いのはヤオモモこと八百万百と、お茶子のコスチューム。



八百万「個性の都合で露出は高い方がいいんですの。逆に露出がないと服がビリビリに破れてしまいますわ」

名前「それはそれでかなり刺激的……!」



ナイスバディのヤオモモのコスチュームは、とにかく出せるとこは出しとけ!みたいな。

男子高校生には刺激が強そうだ。



麗日「要望ちゃんと書かなかったらこうなった……」

名前「めっちゃ体にピッタリ……」

麗日「それは言わんといてー!」



お茶子のコスは本当に体のラインにぴったり。
露出はほとんど無いのに何故だろう、えろい。

ヤオモモはコスチュームを着ても堂々としているけど、お茶子は恥ずかしさからか顔を真っ赤にしている。
余計やらしい、そして可愛い。



耳郎「いや、ウチから見ればあんたも結構えろいけど……」

名前「えっ、そうかな?普通のワンピースだけど……」

耳郎「なんて言うか、それが逆に?」

名前「マジか」



確かにみんなはコスチュームっぽいコスチュームを着ている。
私服でも通用するようなこのワンピースは逆に目立つかもしれない。

それを言ったら、響香のコスチュームもほぼ私服だけどね。

とりあえず皆着替えたみたいだし、グラウンドにレッツゴーだ!!


首元でキラッと光るアネモネをコスチュームの中にしまい込み、私はみんなの後を追って更衣室から出たのだった。







グラウンドに行けば、既に数名の男子の姿があった。

その中に勝己の姿を見つけたので、背中に飛びついてみる。



名前「わっほい勝己!!いいねそのコス、なんか敵っぽくて強そう!!」

爆豪「あ゙あ゙!!?」



ふざけて声をかければ鬼の形相で睨まれた。

おおお、こわっ!!



名前「ねえごめん嘘だって!めっちゃいいじゃん、すっごくかっこいいよ!」

爆豪「うるせえ騒ぐな!!あと離れろやクソ女!!」

名前「なになに、照れてんの?」

爆豪「殺すぞテメェ」

名前「ごめんなさい!」



昨日の勝己の様子が気になったけれど、今日は通常運転のようだ。
良かった良かった。

これからも大丈夫だといいんだけど……。



名前「ところでこの腕はわざと?私に触らせようとしてるの?これ見よがしに上腕見せつけて」

爆豪「触るなキメェ」

名前「いだだだだ!ちょ、嘘だって!マジで引かないでよ!」



実は上腕フェチの私。
勝己の上腕に触ろうと手を伸ばしたら思い切り掴み上げられた。

痛い痛い痛い痛い!

それに珍しくドン引きされた、酷い。
マジで引いてる目だったよ、蔑みの目だったよ今の……。

そんな中、聞き覚えのある足音が聞こえてきた。



名前「おっ、出久じゃん!」

麗日「デク君!!」



やってきたのは緑のコスチュームに身を包んだ出久。

そういえば、お母さんがジャンプスーツを買ってくれたって言ってたな。
さっすが出久のお母さん、緑を選ぶとはよくわかってる!出久には緑が一番似合うもんね。



緑谷「名前ちゃん、麗日さ……って、うおおおっ!!?」

麗日「かっこいいね、地に足着いた感じで!」



私とお茶子が声をかければ、出久は挙動不審になった。
何故だろう、顔が見えないのに真っ赤になっているのが目に見える。

お茶子のコスは刺激強いからなー。



名前「そのツノっぽいのいいじゃん!オールマイトリスペクトでしょ!?」

緑谷「え、わ、わかった!?」

名前「わかるわかる!そんでそのデザインはオールマイトの歯かな!?」

緑谷「そうなんだ!いつも笑顔で人を助ける、オールマイト!!」

名前「やっぱり!すっごく似合ってるよ、かっこいい!」



グッと親指を突き立てて笑うと、出久はへにゃへにゃと照れて笑い出した。

相変わらずこの子は、褒められ慣れてないんだから……。








──── 初めての対人戦闘訓練は、ヒーローと敵に分かれて2対2で戦うチーム戦だった。

といってもこのクラスは21人だから、どこかの組が3人になってしまうが。


敵は核兵器を所持しており、ヒーローがその処理をするという状況設定だ。

ヒーローは時間内に核兵器を回収するか、敵を捕まえるかしなければならない。
敵は制限時間内で核兵器を守るか、ヒーローを捕まえる。
なんとも規模がアメリカンだ。

チーム決めはくじ引き。
私が入るチームは……。



名前「切島ーっ!一緒じゃんよろしく!」

切島「おっ、風花か!よろしくな!」

瀬呂「俺は瀬呂範太だ、よろしくな」

名前・切島「「よろしく!!」」



チームJで、切島と瀬呂と同じだった。
まさかの自分が3人チームになるとは。

そして次のくじ引きは対戦相手を決めるもの。
最初に対戦するのは……。



オールマイト「最初の対戦相手はコイツらだ!Aコンビがヒーロー、Dコンビが敵だ!」

緑谷・爆豪「「っ!!」」

オールマイト「他の者はモニタールームに向かってくれ!」

全員「「「はいっ!!!」」」



息を飲んだのは出久と勝己。
Aコンビは出久とお茶子のチームで、Dコンビは勝己とロボ眼鏡君のチームだ。

まさかの幼馴染み対決!?

ちらりと2人の様子を見れば、勝己は思い切り出久のことを睨んでいるし、出久はそれ怯えていた。

だ、大丈夫かな……?
勝己は昨日の出久の件もあるし、いろいろ爆発しなきゃいいんだけど……。



切島「風花、どうした?行こうぜ」

名前「……えっ、あっ、ごめんごめん!行こ!」



なんだか不安が残るけど、指示には従わなければならない。

私は後ろ髪引かれる思いでモニタールームへと向かった。

<< >>

目次
戻る
top
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -