第一章 中学時代〜USJ襲撃事件 | ナノ


1

《上鳴電気 side》


晴れて雄英生となった俺。

入学して早々、クラスメイトの中に美少女を発見した。

名前は風花名前。
どうやらいかにもガラの悪い爆豪とかいう男と仲がいいらしく、初日からクラスの中では目立っていた。

だけど、とにかく可愛い。
学校どころか、県内で一番の美少女じゃないかってくらい可愛い。

これは声をかけるしかねえよな!


入学2日目、俺は爆豪がいない時を見計らって風花に話しかけた。
爆豪は風花の周りを番犬みたいに彷徨いてるからな、アイツに見られたら噛み付かれそうだ。



上鳴「なあ、風花だっけ?」



ぽん、と肩に手を置いて話しかければ驚いたように振り返る風花。
だけどすぐに花のように綺麗な笑みを向けてくれた。

か、可愛すぎるっ……!!!



名前「うん、風花名前だよ!えっと、ピカ……じゃなかった、上鳴だっけ?」

上鳴「そ、上鳴電気。……てか今ピカ○ュウって言いかけたか?」

名前「あはは、ごめんごめん!電流のイメージがすごくて。よろしくね、上鳴」



へらっと笑う風花。

くっ、くるもんがある……!
とりあえず、風花と爆豪の関係を聞いてみねえとな。



上鳴「よろしくな!な、風花って爆豪と付き合ってんの?」

名前「……えっ、えええっ!?そんなんじゃないよ!やだな、そんな風に見えてるの?」

上鳴「いや、昨日とか割と仲良さげだったからさ」

名前「あー……まあ、幼馴染みだから……」



お、幼馴染み……!?

なんだよそのシチュエーション、爆豪が羨ましすぎる!!
こんな可愛い幼馴染みがいるとか、コミックの世界かよ!?

……とりあえず2人が付き合ってないのなら、これは風花とお近付きになる絶好のチャンスだ。



上鳴「へーそうなん!てか今日暇?飯とか行かね?」

名前「えっ?」

上鳴「なんか奢るけど、何好きなん?」



……その瞬間だった。

風花の目が、キラーンと効果音が付きそうな程に輝いたのは。



名前「……え?奢り?上鳴の奢り?」

上鳴「お、おう。女の子にお金出させるとか、俺がするわけねーじゃん?」

名前「マジか!めっちゃ良い奴だね、上鳴って!よっしゃノッた、今日ね!」

上鳴「お、おう……」



……あれ?なんだろう、なんかイメージ違うんだけど。

風花の目はギラギラと輝いていて、ガッツポーズまでしている。

飯行けるのは嬉しいんだけど、なんか違うような。
全然デートに行く雰囲気じゃなくねえか、これ。

……その時だった。


──── ゴツッ



爆豪「図々しいんだよテメェは!!!」

名前「いだああああ!!!」

上鳴「!!?」



いつの間にか、風花の後ろに爆豪がいた。

こ、コイツ……。
こんなに可愛い女の子の頭を、容赦なく殴りやがった!!

すると爆豪がキッと俺に視線を移す。



爆豪「おい!コイツ、他人の財布で飯食える時エグいくらい食うからな!!そんでタッパーとか持ってくるからな!!わかったら誘うんじゃねぇこんな女!!」

上鳴「……た、タッパー……」



なんだか予想外の方向から怒られた。
いやあの、タッパーて。

一方風花は頭を擦りながら、涙目で爆豪を睨みつけている。



名前「酷いよ勝己!せっかくご飯代浮くところだったのに」

爆豪「馬鹿かテメェは!おい、コイツに絶対奢るなよ、お前が破綻するぞ!!」

上鳴「……は、破綻……」

名前「流石にそこまではしないよ!」



……どうやら風花はなかなか変わってる子らしい。
それはそれで面白そうだけど。

つかこの2人、これで付き合ってねえのか?



上鳴「……やっぱり2人って付き合ってるんじゃ、」

名前・爆豪「「付き合って ない/ねえ!!」」

上鳴「す、すんません……」



ギロッと2人から睨まれて、思わず一歩後退る。

息ピッタリじゃん、めちゃくちゃ仲良いじゃねえかよ……。
正直これは、付け入る隙は無さそうだ。

だけど、風花は面白そうな奴だと思った。
なんつーか、人を惹きつける何かを持ってる気がするんだよな。

仲良くなりてえと、爆豪と口喧嘩をする風花を見ててそう思った。

<< >>

目次
戻る
top
×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -