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《上鳴電気 side》
晴れて雄英生となった俺。
入学して早々、クラスメイトの中に美少女を発見した。
名前は風花名前。
どうやらいかにもガラの悪い爆豪とかいう男と仲がいいらしく、初日からクラスの中では目立っていた。
だけど、とにかく可愛い。
学校どころか、県内で一番の美少女じゃないかってくらい可愛い。
これは声をかけるしかねえよな!
入学2日目、俺は爆豪がいない時を見計らって風花に話しかけた。
爆豪は風花の周りを番犬みたいに彷徨いてるからな、アイツに見られたら噛み付かれそうだ。
上鳴「なあ、風花だっけ?」
ぽん、と肩に手を置いて話しかければ驚いたように振り返る風花。
だけどすぐに花のように綺麗な笑みを向けてくれた。
か、可愛すぎるっ……!!!
名前「うん、風花名前だよ!えっと、ピカ……じゃなかった、上鳴だっけ?」
上鳴「そ、上鳴電気。……てか今ピカ○ュウって言いかけたか?」
名前「あはは、ごめんごめん!電流のイメージがすごくて。よろしくね、上鳴」
へらっと笑う風花。
くっ、くるもんがある……!
とりあえず、風花と爆豪の関係を聞いてみねえとな。
上鳴「よろしくな!な、風花って爆豪と付き合ってんの?」
名前「……えっ、えええっ!?そんなんじゃないよ!やだな、そんな風に見えてるの?」
上鳴「いや、昨日とか割と仲良さげだったからさ」
名前「あー……まあ、幼馴染みだから……」
お、幼馴染み……!?
なんだよそのシチュエーション、爆豪が羨ましすぎる!!
こんな可愛い幼馴染みがいるとか、コミックの世界かよ!?
……とりあえず2人が付き合ってないのなら、これは風花とお近付きになる絶好のチャンスだ。
上鳴「へーそうなん!てか今日暇?飯とか行かね?」
名前「えっ?」
上鳴「なんか奢るけど、何好きなん?」
……その瞬間だった。
風花の目が、キラーンと効果音が付きそうな程に輝いたのは。
名前「……え?奢り?上鳴の奢り?」
上鳴「お、おう。女の子にお金出させるとか、俺がするわけねーじゃん?」
名前「マジか!めっちゃ良い奴だね、上鳴って!よっしゃノッた、今日ね!」
上鳴「お、おう……」
……あれ?なんだろう、なんかイメージ違うんだけど。
風花の目はギラギラと輝いていて、ガッツポーズまでしている。
飯行けるのは嬉しいんだけど、なんか違うような。
全然デートに行く雰囲気じゃなくねえか、これ。
……その時だった。
──── ゴツッ
爆豪「図々しいんだよテメェは!!!」
名前「いだああああ!!!」
上鳴「!!?」
いつの間にか、風花の後ろに爆豪がいた。
こ、コイツ……。
こんなに可愛い女の子の頭を、容赦なく殴りやがった!!
すると爆豪がキッと俺に視線を移す。
爆豪「おい!コイツ、他人の財布で飯食える時エグいくらい食うからな!!そんでタッパーとか持ってくるからな!!わかったら誘うんじゃねぇこんな女!!」
上鳴「……た、タッパー……」
なんだか予想外の方向から怒られた。
いやあの、タッパーて。
一方風花は頭を擦りながら、涙目で爆豪を睨みつけている。
名前「酷いよ勝己!せっかくご飯代浮くところだったのに」
爆豪「馬鹿かテメェは!おい、コイツに絶対奢るなよ、お前が破綻するぞ!!」
上鳴「……は、破綻……」
名前「流石にそこまではしないよ!」
……どうやら風花はなかなか変わってる子らしい。
それはそれで面白そうだけど。
つかこの2人、これで付き合ってねえのか?
上鳴「……やっぱり2人って付き合ってるんじゃ、」
名前・爆豪「「付き合って ない/ねえ!!」」
上鳴「す、すんません……」
ギロッと2人から睨まれて、思わず一歩後退る。
息ピッタリじゃん、めちゃくちゃ仲良いじゃねえかよ……。
正直これは、付け入る隙は無さそうだ。
だけど、風花は面白そうな奴だと思った。
なんつーか、人を惹きつける何かを持ってる気がするんだよな。
仲良くなりてえと、爆豪と口喧嘩をする風花を見ててそう思った。
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