第一章 中学時代〜USJ襲撃事件 | ナノ


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そんな事を思っていると、出久の後ろから可愛らしい女の子が現れた。

どうやら出久と顔見知りのようで、何やら楽しそうに話している (といっても出久は完全にキョドっているけど)。

出久に、女の子の知り合い……!?



名前「何あの子めっちゃ可愛い私も話したい出久ずるい」

爆豪「何しに来たんだよおめーは」

名前「いでっ!?」



ビシッと容赦なくデコピンをされた。
痛い、物凄く。

というかこのクラス、めちゃくちゃ顔面偏差値高くない?
特に美女率高いんだけど。
え、天国ですか?絶対仲良くなったるわ。

……しかし、私の淡い期待は初日から潰されることとなる。



?4「お友達ごっこしたいなら他所へ行け」



突如聞こえてきた、男性の渋い声。

ん?何だ?
そんな声の持ち主らしき人は見当たらな ──── 。



?4「ここは……ヒーロー科だぞ」



いや、いた!なんかいた!!
出久達の後ろ……廊下に転がっている黄色い寝袋 (何故寝袋?)。

その中に、なんだかモサイ人が入っていた。
何だあの人!?誰!?

その人はゼリー飲料を一気に飲み干し、ヌッと寝袋から出てくる。



?4「ハイ静かになるまで8秒かかりました。時間は有限。君たちは合理性に欠くね」



な、なんか発言が先生っぽい……よく学校物のコミックでありそうなセリフだ。

いやでもこんなモサイ人が教師でヒーローなんて、そんなことあるわけ ──── 。



相澤「担任の相澤消太だ。よろしくね」



先生だった!そしてまさかの担任だった!!
こんなやる気なさそうな先生で大丈夫なのか!?

というかこの人ちゃんと寝てるの!?身だしなみが酷いよ大丈夫!?


唖然として彼を見る私達を気遣うことなく、相澤先生は寝袋からゴソゴソと何かを取り出した。

あれは……体操着?



相澤「早速だが、体操服着てグラウンドに出ろ」



ん?入学初日から体操服着てグラウンド……?

入学式をやるのだろうか?
いやでも、なんで体操服?

疑問が残りながらも私は急いで着替えて、皆と一緒にグラウンドに向かった。


そしてグラウンドに着くなり告げられた内容は、



全員「「「「「個性把握……テストォ!!?」」」」」



入学式ではなくて、個性把握テスト。

なんだそりゃ!!?
ていうかそれ、入学初日にやることなのか!?



?5「入学式は!?ガイダンスは!?」



焦ったように先生に質問する女の子。

さっき出久と話していた可愛い女の子だ。



相澤「ヒーローになるならそんな悠長な行事出る時間ないよ」



……マジか、この人。

クラスメイト全員が、唖然として相澤先生を見つめていた。



相澤「雄英は "自由" な校風が売り文句。そしてそれは "先生側" もまた然り」



……いやまあ、確かに雄英のホームページには自由な校風が何とかって書いてたけれども。

自由って、そういう自由?
マジの自由じゃん。



相澤「ソフトボール投げ、立ち幅とび、50m走、持久走、握力、反復横とび、上体起こし、長座体前屈。中学の頃からやってるだろ?"個性"禁止の体力テスト」



確かにそれはやらされてきている。

"個性"禁止の体力テストというか、そもそも学校内で個性を使うこと自体が禁止されていた。



相澤「国は未だ画一的な記録を取って平均を作り上げている。合理的じゃない。まあ、文部科学省の怠慢だよ」



先生なのに随分とはっきり言う人だ。
きっとこの人は不合理・非効率的なことが嫌いなのだろう。

すると、先生の視線が勝己へと向いた。



相澤「爆豪、中学の時ソフトボール投げ何mだった」

爆豪「67m」

相澤「じゃあ"個性"使ってやってみろ。円から出なきゃ何してもいい、早よ。思い切りな」



勝己が地面に描かれた白い円の中に入ると先生がボールを渡す。

勝己は軽く準備運動をすると、大きく振りかぶって ─── 。



爆豪「んじゃまぁ……死ねえ!!!

名前・緑谷『『死ね!!?』』


FABOOOM!!!


爆発音がしたかと思うと、爆風に乗って球が勢いよく飛んで行った。

す、すごい……!

その威力は凄まじく、こちらにまで爆風が走り抜けていった。



相澤「まず自分の『最大限』を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」



そう言って先生は計測器を見せてくれた。
そこには705.2mの文字。

な、705!!?

私が目を見開いたのと同時に、周りからはワッと黄色い歓声が上がる。



「なんだこれ!!スゲー面白そう!」

「705mってマジかよ!」

「"個性"思いっ切り使えるんだ!さすがヒーロー科!!」



中学までは完全に"個性"禁止だったから、皆もフラストレーションが溜まっていたのだろう。
"個性"が使えると聞き、「面白そう」という声が沢山上がった。

すると相澤先生が、「面白そう……か」と意味深に呟く。



相澤「ヒーローになる為の3年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?……よし。トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し除籍処分としよう」

全員「「「「「はああああ!!?」」」」」



ニヤリと弧を描いた口から放たれた、とんでもない一言。
全員から驚きと困惑の声が上がった。

除籍って……入学早々に!!?

思わずぎょっとするが、それと同時にメラメラと燃え上がる闘争心。



相澤「生徒の如何は先生の"自由"。ようこそ、これが雄英高校ヒーロー科だ」



これが、最高峰のヒーロー科……か。

除籍?上等だ。
やってやろうじゃないの!!

しかし周りからはブーイングの嵐だ。



?5「最下位除籍って……!入学初日ですよ!?いや初日じゃなくても……理不尽すぎる!!」



確かに、私達からすればここは今までとは比にならない程の努力と苦労をして入った学校だ。

ようやくスタート地点に立てたというのに、初日から除籍なんてされたらたまったもんじゃない。

先生は口元に笑みを浮かべたまま言葉を続ける。
その目は、幾多の死線を潜り抜けてきた者の目に見えた。



相澤「自然災害……大事故……身勝手な敵たち……いつどこから来るかわからない厄災。日本は理不尽にまみれている。そういう理不尽を覆していくのがヒーロー。放課後マックで談笑したかったならお生憎。これから3年間、雄英は全力で君たちに苦難を与え続ける。"Plus Ultra"さ、全力で乗り越えて来い」



ゾワッと鳥肌が立った。
ああ、私は本当にあの雄英に来たのだと。

確かに放課後マックでお喋りもしたい。
普通の高校生らしい生活も送ってみたい。

だけど何よりも、雄英から与えられる苦難を誰よりも速く乗り越えてみたい。

絶対に何とかしてみせる、皆を守るヒーローになるために!!

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