第一章 中学時代〜USJ襲撃事件 | ナノ


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《 名前 side 》



名前「 ──── 勝己ーっ、お疲れーっ!!」

爆豪「うるっせえクソ女!!」

名前「いやいきなり理不尽!!」



筆記試験も終えて、帰り道。
見知った背中を見つけた私はそいつに声をかけた。

しかしそれだけで怒鳴られてしまう。
なんて理不尽な!いつもの事だけど!



名前「どうだった?」

爆豪「は、余裕だわクソが」

名前「ですよね……」



乱暴で自尊心の強い勝己だけど、彼は天才だ。

戦闘のセンスは周りよりも頭三つ分くらいずば抜けているし、おまけに頭も良い。

まあ、勝己は余裕だろうな。



名前「勝己は実技のポイント何点取ったの?」

爆豪「77」

名前「……は?やば」



77って……えぐすぎない?

……あー、これは私ちょっとやらかしたかも。
30pではギリギリ届いているか、落ちているかのラインだろう。



爆豪「……お前は」

名前「……………30」

爆豪「……はぁ?」



呆れたような声が返ってくる。

そりゃそうだ、私はいつも学校では勝己と張り合えるぐらいの成績をキープしていたのだから。
勝己と一緒にワンツーフィニッシュなんて、当たり前のことだった。



爆豪「……何かあったのかよ。体調でも悪かったのか」



どうやら勝己は、私が不調だったと思っているみたい。

……ううん、そんなんじゃない。



名前「……ううん、私の実力だよ」



チッと舌打ちが返ってきた。


……だけど私は、間違ったことをしたとは思っていない。

私はあの場で、正しい行動を取ったという自信がある。
人助けをして落ちるようなヒーロー科なら、それはその程度のものだったということだ。



爆豪「……どうせ何かあったんだろ。てめぇがやらかすとは思えねえ」

名前「……ううん。ヒーローは、言い訳なんてしないから。……ま、なるようになるよ!」

爆豪「……んだよ、それ」



不機嫌そうに顔を歪める勝己に向かって、ニカッと笑いかける。

もし落ちたとしても、雄英に受かることが全てじゃない。
私は私のやり方で、ヒーローになればいい。



名前「さあ!!夕日に向かって走ろう!!」

爆豪「うるっせんだよクソ女!!耳元で叫ぶんじゃねえ!!」



勝己の手を引いて、駆け出す私。

そんな私の背中を夕日が優しく照らしてくれていた。

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