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〜 no side 〜
──── 数刻後。
千鶴は1人、縁側に座っていた。
その瞳には、少し緊張の色が見える。
……その足音が聞こえた時、千鶴はハッとして立ち上がった。
千鶴「 ──── 斎藤さん!おかえりなさい」
斎藤「……雪村か。どうした」
千鶴が待っていたのは、斎藤であった。
千鶴「……そ、その、……これを……」
千鶴は手に持っていたものを、恐る恐る斎藤に差し出す。
受け取った斎藤は、目をパチクリさせた。
斎藤「……兎?」
千鶴「名前が折ってくれたんです。……その、この間、一緒に雪兎を作ったので、その……」(小ネタ1より)
そう言って千鶴は少しだけ顔を赤らめる。
千鶴の言葉に、斎藤は少し目を見開いた。
斎藤「……これを、俺に?」
千鶴「は、はい。作ってくれたのは名前ですけど……。私も作ってもらったので、斎藤さんにもと思って…」
斎藤「……感謝する。部屋に飾らせてもらう」
千鶴「は、はい!」
少し微笑んだ斎藤を見て、千鶴はパッと顔を輝かせるのだった。
──── 夕陽が優しく、2人を橙色に染め上げている…。
(……あれ?なんで千鶴にあげた兎が斎藤さんの部屋に……)
(………)
(……ま、まって。え、斎藤さんと千鶴って、え?)
(苗字、写経はどうした)
(いやいや写経どころじゃないですよ!え、2人ってそういう、)
(違う!!!)
(バチーンッ!!!!)
(いでえええええええっ!!!!!)
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