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永倉「すげえなぁ!名前ちゃん、俺にも何か作ってくれねえか?」
名前「いいよ!何がいい?」
永倉「そんじゃ、俺の筋肉でどうだ!?」
その場にいた全員が、思い切り吹き出した。
藤堂「ぶっ、ははははは!き、筋肉て!筋肉て!」
名前「ぎゃはははは!」
平助なんて笑い転げてるよ。
私もめちゃくちゃ笑ったわマジで。
名前「と、とりあえず!筋肉単体はさすがに無理だから、新八っつぁん作るね」
永倉「お、俺か?」
自分の笑いを鎮めるのに必死になって折り紙を折る。
そして顔を描けば……。
名前「はい、できた」
永倉「うおおおお!?俺だ!!すげえ!!」
藤堂「な、なんでだ!?なんで新八っつぁんに見えるんだこれ!?」
千鶴「す、すごい!永倉さんだ!」
実は私、折り紙で人を作るのも得意なんだ。
その人の特徴をつかんで折ることができる。
新八っつぁんもめちゃくちゃ上手くできた。
名前「よし!じゃあ次は左之さんだね!何がいい?」
私は、今まで黙って私の手元を見つめていた左之さんに声をかける。
左之さんは少し考え込んだあと、そうだな、と呟いた。
原田「……桜、頼めるか?」
名前「もちろん!ちょっと待ってね」
桜か。
なんだか、ちょっと意外だった。
徳利と猪口って言われるかと思ってたんだけど。
左之さんは桜が好きなのかな?
私も花の中では桜が一番好きだから、そうだったら嬉しいな。
名前「はいできた!」
藤堂「すげー!桜だ!!」
永倉「なんで1枚で折れるんだ!?」
名前「んー、白いからなんか地味だけど……」
原田「んなこたぁねえよ。ありがとうな、名前」
左之さんは私に向かってふわりと微笑んだ。
……なんだか、その瞳がいつも以上に優しくて。
思わずドキリとしてしまったのは、秘密だ。
なぜだか急に恥ずかしくなって、左之さんから目を逸らした、その時。
千鶴「……あ、あの……名前……」
名前「ん?なあに?」
つんつんと私の着物の袖を千鶴が引っ張った。
くっ……か、可愛い……!!
悶絶しそうになるのを堪えて私が聞き返せば、千鶴はおずおずと口を開く。
千鶴「……あの、さっきの兎……もうひとつ、欲しいな」
名前「え?」
千鶴「あっ、だめだったらいいの!」
名前「いや、全然!こんなのでよければ」
私は瞬時に兎を作って先程と同じように顔を描き、千鶴に渡す。
名前「はい、できた!」
千鶴「あ、ありがとうっ!」
千鶴が少しだけ顔を赤らめたのが気になったけど、本当に嬉しそうに笑うので、いつしかそんな疑問は消え去っていた。
千鶴の笑顔が見れるなら100個でも1000個でも折ります、はい。
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