桜恋録 | ナノ


5



永倉「すげえなぁ!名前ちゃん、俺にも何か作ってくれねえか?」

名前「いいよ!何がいい?」

永倉「そんじゃ、俺の筋肉でどうだ!?」



その場にいた全員が、思い切り吹き出した。



藤堂「ぶっ、ははははは!き、筋肉て!筋肉て!」

名前「ぎゃはははは!」



平助なんて笑い転げてるよ。
私もめちゃくちゃ笑ったわマジで。



名前「と、とりあえず!筋肉単体はさすがに無理だから、新八っつぁん作るね」

永倉「お、俺か?」



自分の笑いを鎮めるのに必死になって折り紙を折る。

そして顔を描けば……。



名前「はい、できた」

永倉「うおおおお!?俺だ!!すげえ!!」

藤堂「な、なんでだ!?なんで新八っつぁんに見えるんだこれ!?」

千鶴「す、すごい!永倉さんだ!」



実は私、折り紙で人を作るのも得意なんだ。
その人の特徴をつかんで折ることができる。

新八っつぁんもめちゃくちゃ上手くできた。



名前「よし!じゃあ次は左之さんだね!何がいい?」



私は、今まで黙って私の手元を見つめていた左之さんに声をかける。

左之さんは少し考え込んだあと、そうだな、と呟いた。



原田「……桜、頼めるか?」

名前「もちろん!ちょっと待ってね」



桜か。
なんだか、ちょっと意外だった。

徳利と猪口って言われるかと思ってたんだけど。


左之さんは桜が好きなのかな?
私も花の中では桜が一番好きだから、そうだったら嬉しいな。



名前「はいできた!」

藤堂「すげー!桜だ!!」

永倉「なんで1枚で折れるんだ!?」

名前「んー、白いからなんか地味だけど……」

原田「んなこたぁねえよ。ありがとうな、名前」



左之さんは私に向かってふわりと微笑んだ。

……なんだか、その瞳がいつも以上に優しくて。
思わずドキリとしてしまったのは、秘密だ。

なぜだか急に恥ずかしくなって、左之さんから目を逸らした、その時。



千鶴「……あ、あの……名前……」

名前「ん?なあに?」



つんつんと私の着物の袖を千鶴が引っ張った。

くっ……か、可愛い……!!

悶絶しそうになるのを堪えて私が聞き返せば、千鶴はおずおずと口を開く。



千鶴「……あの、さっきの兎……もうひとつ、欲しいな」

名前「え?」

千鶴「あっ、だめだったらいいの!」

名前「いや、全然!こんなのでよければ」



私は瞬時に兎を作って先程と同じように顔を描き、千鶴に渡す。



名前「はい、できた!」

千鶴「あ、ありがとうっ!」



千鶴が少しだけ顔を赤らめたのが気になったけど、本当に嬉しそうに笑うので、いつしかそんな疑問は消え去っていた。

千鶴の笑顔が見れるなら100個でも1000個でも折ります、はい。

<< >>

目次
戻る
top

×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -