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藤堂「なに、一君いねぇの?って、名前じゃん」
永倉「なに、名前ちゃん?……って、ああ!火鉢あるじゃねえか!ちょっくら入れてもらうぜ」
藤堂「おお、寒い寒い」
左之さんの後ろからそんな声が聞こえたかと思うと、平助と新八っつぁんがズカズカと部屋に入り込んできた。
原田「……斎藤は巡察か?」
名前「うん。私はお勉強中なの」
原田「精が出るじゃねえか。ところで、ちょっと温まっていってもいいか?」
名前「もちろん!……もう既に温まってる人達いるけどね」
私と左之さんの視線の先には、火鉢を囲んでいる新八っつぁんと平助。
寒くないのかな、あんなに肌出して。
あ、寒いから温まりに来てるのか。
いや衣替えしろよ普通に。
原田「悪ぃな。ほら、千鶴。入れよ」
千鶴「は、はいっ」
名前「え、千鶴?」
千鶴「あっ、名前!お邪魔します」
左之さんが手招きすると、ひょっこりと千鶴が顔を出した。
何この可愛いひょっこりはん。
千鶴はおずおずと部屋に入ってくる。
そんな彼女の手は、真っ赤だ。
……あ、いや、血に染ってたとかではなく。
名前「っ!どうしたのその手!!」
私はギョッとして千鶴に駆け寄り、自分の両手で千鶴の手を包み込んだ。
千鶴「……温かい……」
千鶴がほっとしたように微笑む。
原田「ほら千鶴、早く火鉢にあたれ。お前らもうちょい場所空けろ、千鶴優先だ」
永倉「わあってるって」
平助「千鶴、来いよー」
千鶴「う、うん」
千鶴は私にありがとうと言ってから、火鉢の近くに行って腰を下ろした。
千鶴の手が離れても、彼女の体温が私の手に残っている。
驚くくらいの冷たさだったのだ。
原田「……洗濯をしてくれていたみたいでな。風呂場で凍えていたんだ」
名前「ああ、それでか!」
それならあの手の冷たさも納得がいく。
いやしかし、本当に申し訳ない。
最近私は勉強と稽古ばかりさせられているため、千鶴の手伝いが全くできないでいるのだ。
私は千鶴の傍に行き、自分の羽織で千鶴を包んだ。
千鶴「!?だ、大丈夫だよ名前!寒いでしょう?」
名前「ダメだよ、そんなに凍えてるのに。ごめんね、最近掃除手伝ってあげられなくて……」
千鶴「ううん。名前、すごく頑張ってるから、私も頑張らなくちゃ」
そう言って千鶴はニコリと笑った。
可愛い!可愛すぎる!!!
天使が舞い降りたぞ!!!
藤堂「顔ニヤけてるぞー、名前」
名前「うっさいな、可愛いもん見たらニヤけるでしょ」
永倉「ほんっと名前ちゃんは男みてえなところがあるよなぁ」
ゲラゲラと新八っつぁんに笑われ、私はムスッとしながら千鶴の隣に座る。
そんな私の隣には左之さんが座った。
藤堂「……あったけ〜〜〜」
永倉「身に染みるぜ……」
私たちはそれ以上何も話さずに、ボーッと火鉢を見て過ごしていた。
……しばらくして沈黙を破ったのは、平助だった。
藤堂「……暇……」
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