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──── ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ……
原田「……なぁ、名前」
名前「へい(プルプル)」
原田「……お前のいた、元の世界によ、……」
名前「うん?(プルプル)」
珍しく、歯切れの悪い左之さん。
だけど私は小松菜と格闘中のため、左之さんの顔を見ることができない。
原田「……思い人とか、いたのか?」
名前「えっ」
──── ザシュッ…
名前「うぎゃああっ!!」
予想だにしなかった質問に驚いて手を滑らせてしまい、誤って人差し指を切ってしまった。
結構深く切ってしまったようで、まな板が赤く染まっていく……。
原田「おい、大丈夫か!?」
名前「あ、あはは、切っちゃった、!!?」
ぐいっと手をつかまれたかと思えば、切ってしまった人差し指は左之さんの口元へ。
そしてそのまま傷口をちゅうっと吸われる。
ピリッと指先に痛みが走った。
名前「ひいいっ!?さささ、左之さ、!?」
原田「ん?」
うわあああーーーーーっ!!?
え、え、エロい!
めちゃくちゃベタな展開なのに左之さんがやるとめっちゃエロい!!
そして左之さんルートきたーーーっ!!
原田「……よし、止まったな。大丈夫か?」
名前「だ、だ、大丈夫、うん、うん」
原田「……ん?どうした?顔赤くねぇか?」
名前「ななな、何でもないっ!」
え、無自覚!?
あの破壊力を無自覚!?
左之さん実は天然タラシ説ある!?
……色々ハプニングはあったけど何とか他の具材も切り終え、鍋で味噌を溶かし具材を入れる。
あとは煮込めば完成だ。
……あれ、そういやさっき、左之さんに何か聞かれなかったっけ?
名前「……え、えっと……何の話してたっけ?」
原田「……いや、何でもねえ。忘れてくれ」
名前「そ、そっか」
忘れてくれって言われても、そもそも覚えてないんだけど……。
なんだっけ?
なんかモヤモヤするなあ……。
ま、思い出したときでいいか!
原田「……そろそろいいんじゃねえか?」
名前「よっしゃ!」
原田「味見してみるか」
名前「ん」
私と左之さんは小皿に味噌汁を取り味見をしてみる。
名前「……あれ?意外と美味くね?」
原田「……ああ。美味ぇな」
……まじか、できちゃった。
名前「やったあ!ありがとう左之さん!よかった、作った料理が緑色になる呪いにかかってなかった!」
原田「いやどんな呪いだよ……でも、やりゃあできるじゃねえか」
名前「えへへへへへへへへ」
左之さんが頭をなでなでしてくれたので、心も体も正直な私は思い切り顔が緩む。
おまけに金平糖も約束通りちゃんとくれたし、もう左之さん大好き。
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