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名前「師匠、まずは何をすればいいですか」
原田「手ェ洗え」
名前「御意」
原田「(そこからなんだな…)」
私はジャバジャバと桶で手を洗う。
名前「師匠終わりやした」
原田「そうだな……じゃあ味噌汁でも作るか。つってもさすがに俺も斎藤の作る味噌汁にゃ敵わねェけどよ……」
名前「御意」
原田「作り方はわかるよな?」
名前「……」
原田「……わかった教える」
名前「あざす!!!」
もう呆れられても仕方ない。
わからないならわからないでいいじゃない、これから覚えればいいんだから!(名前名言集より)
左之さんは小松菜を持ってきて、お手本として切り始める。
トントントン、とリズミカルな音が響いた。
名前「左之さんやべぇかっけえ」
原田「練習すりゃお前もできるようになるさ」
包丁を交代してもらい、私も左之さんのマネをしてゆっくり切っていく。
隣では左之さんが見守ってくれていた。
原田「そういやお前、元の世界では何食ってたんだ?味噌汁とか飲まねぇのか?」
名前「飲むよ、もちろん!私和食好きだし。……でも現代っ子の味噌汁はインスタントだから(プルプル)」
原田「いんすたんと?なんだそりゃ」
名前「味噌汁1杯分の味噌と乾燥した具材がもう袋に入ってて、お湯を入れるだけで味噌汁ができるんだよ(プルプル)」
原田「……よくわからねえがすげえな、未来ってのは」
名前「でしょ?ほかにもいっぱいあるんだよ(プルプル)」
──── ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ……
原田「……さっきから腕がすげぇ震えてるが大丈夫か」
名前「大丈夫だよ(プルプル)」
原田「こんなに恐ろしい『大丈夫』を聞いたのは初めてだ」
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