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──── そして、あれから1週間。
斎藤「踏み込みが甘い。もう一度だ」
名前「ひゃいぃっ……(涙)」
こんにちは、名前です。
只今斎藤さんのスパルタ特訓受けてます死にそうです。
とりあえず、何とか打ち込む練習までたどり着いたんだけど……。
──── バシッ
名前「いだぁっ!!?」
斎藤「隙がありすぎだ、これではすぐに打ち込まれるぞ」
名前「すみません既に打ち込まれてます」
てんで進歩してないように思える。
増えるのはスキルではなく痣だけだ。
……我ながら今のはちょっと上手いこと言ったと思う。
ちなみに今日は原田さん、藤堂さん、永倉さん、沖田さんも隣で一緒に稽古中だ。
藤堂「うーん、なんかこう、もっと……ビシーっといけよビシーっと!!」
名前「ごめんちょっとよくわからない」
永倉「なーんかぎこちねぇんだよなぁ」
名前「だってまだ1週間だよ!!(涙)」
原田「……しかし、ここも治安がいいわけじゃねぇしな。俺達といたら余計に誰かに狙われるかもしれねぇしよ。まあ、いざって時は守ってやるが……」
斎藤「最低限、自分の身は自分で守れなければならぬ」
名前「うぅ……(涙)」
どうして私はこんなに出来が悪いんだろう。
もしかして私、剣の才能ない…?( ´・ω・`)
沖田「……でも名前ちゃん、最初からすり足だけは上手かったよね。すり足だけは」
名前「"だけ" をそんなにはっきり強調しないでください」
いやまあ、実際そうだし否定はできないんだけどね。
名前「……私、こっちに来る前は弓道やってたんです。その影響かも」
みんなが私を一斉に見た。
永倉「なんだよ、それを早く言えよ名前ちゃん!」
藤堂「だったらもう、弓使いになればいいんじゃねーの!?」
永倉さんと藤堂さんが少し興奮気味に言った。
原田「……ちなみに腕前はどうなんだ?」
沖田「まさか、剣術と大して変わらないとか言わないよね?」
名前「失礼だな沖田さん。私これでも強かったんですよ?なんたって、クラスの剛田くんに勝てたのは私だけなんですからねっ!」
原田「……誰だよ剛田くん……」
同じクラス、同じ部活だった剛田くん。
言わずもがな、あだ名はジャイ○ンだった。
名前「…まぁ、一応大前やってましたよ」
藤堂「大前?」
名前「未来だと大会とかあるんですよ。そこで一番最初に矢を射る人です。私、これでも外したことほとんどないんですよ」
永倉「へぇー、凄いじゃねえか!じゃ、もう弓道でいいんじゃねーのか?」
……私もそっちの方が助かるなぁ。
なんて思っていると、
斎藤「……俺は同意できぬ」
まさかの師匠から反対された。
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