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目の前に差し出されたのは、木刀。
名前「……へ?稽古?」
首を傾げれば、私に木刀を差し出してきた斎藤さんが「そうだ」と言わんばかりに頷いた。
斎藤「ここに住まわる以上、武道を心得た方が良い」
名前「は、はぁ……でも私、剣なんて握ったことないですよ」
斎藤「俺が今からすべて叩き込む」
藤堂「おっ、一君直々の稽古か!よかったじゃねーか名前!」
名前「いやあの、あなたが叩き込むって言うと一方的に私がボコボコにされそうなんですが」
斎藤「心配せずとも刀の握り方も知らぬ素人を殺すような真似はしない。手加減はする」
名前「え、稽古ってそんなに命懸けなの?殺す殺さないが関わってくるの、稽古で?」
永倉「武士ってのはいつでも命懸けだぜ名前ちゃん!」
名前「いやあの、稽古で死んだら意味ないよね!?」
かくして、私の稽古とやらが始まった。
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