桜恋録 | ナノ


5



──── 足音を立てないように広間へ近付き、そっと数ミリ襖を開けて中の様子を見る。

……しかし中の様子に、私は愕然とした。


え、なにこれお通夜?

なんで誰も喋ってないの?
なんで平助も新八っつぁんも騒いでないの?
なんで沖田さんも近藤さんも笑ってないの?

なんでこんなに空気重いの?

なにこれ気持ち悪いんだけど。
気持ち悪い通り越して怖いんだけど。

……さすがの私でも、この空気の中入っていくのは気が引けた。
やっぱり、部屋に戻ろう。


そーっとその場を去ろうとした、その時。



──── ガツッ………


名前「ぎゃーーーーーっ!!!!!」



………壁に、足の小指をぶつけた。
私は足の小指を抑えてその場で転げ回る。

いってえ!!!いってえ!!!!!
ちょ、ヤバイマジで思いっ切りやったわ、小指もげそうなんだが!!!
うぬおおおおいてえええええ!!!!!!

と、1人悶えていると。



藤堂「 ──── 名前っっっ!!!」



いつの間にか襖が開いていて、平助が立っていた。



名前「……へ、すけ……あ、はは………お、お久しブリーフ………」



なんと言っていいかわからず、私の顔は引き攣る。
てか小指痛い!!!


<< >>

目次
戻る
top

×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -