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《原田 side 》
──── その後、俺は現場の後処理を行わなければならなかったため、名前を先に屯所へ帰した。
斎藤の隊の隊士1人に状況を説明して名前を任せ、俺は処理に回る。
だが、名前のことが頭から離れない。
血を浴びて呆然と立ち尽くす名前の姿が、脳裏に焼き付いている。
………情けねえ。
俺は、ギュッと拳を握りしめた。
俺のために、彼奴が手を汚すことになるなんて。
好いた女一人守れねえのか、俺は。
──── 日が沈んだ頃に後処理が終わって屯所に戻れば、門では土方さんが待っていた。
名前を連れて帰った隊士に状況は説明したから、恐らく土方さんにも話は通っているんだろう。
土方さんの鋭い視線が俺をとらえる。
土方「………原田」
原田「……すまねぇ。俺は、」
土方「説明なら後で聞く。……さっさと行ってやれ」
ぶっきらぼうに放たれた言葉に、俺は目を少し見開く。
土方さんは、ふい、と俺から目を逸らした。
土方「……今の彼奴を救えるのは、お前しかいねえだろうが」
原田「……っ、ああ。すまねぇ、土方さん」
今日の土方さんには、頭が上がらねえ。
俺は土方さんに頭を下げると、急いで名前の元へと向かった……。
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