桜恋録 | ナノ


2


──── 全員のお膳を下げて食器を片付けた後、私はお粥を作って名前の部屋へ向かった。



千鶴「名前、大丈夫?」

名前「………ち、づる、?」



声をかけると、名前の声が返ってきた。
だけど、その声があまりにも弱々しくて、ドキリと心臓が跳ねる。

もしかして、かなり体調が悪いのだろうか。



千鶴「うん。お粥持ってきたんだけど、食べない?」

名前「…………食べる」

千鶴「入ってもいい?」

名前「…………うん」



……だけど私は、部屋に入って衝撃を受けた。



名前「ち、千鶴ぅぅぅーーーっ!!」

千鶴「っ!?ど、どうしたのその目!?」



名前の目は充血し、酷く腫れていた。
目の隈も酷く、頬には涙のあとが残っている。
それになんだか、顔もむくんでいる気がする。

私が慌ててお粥を置いて名前の元へ駆け寄れば、名前は私に抱き着いてくる。

そしてそのまま、ボロボロと泣き出してしまった。



千鶴「名前、手拭い持ってくるから少しだけ待っててくれる?」

名前「う、ひっく……うん」

千鶴「すぐ戻るからね、待っててね」



そう言って私は、大慌てで手拭いを取りに行くのだった……。








────フー、フー……
モグモグ……


それから名前は、少ししてからお粥を食べ始めた。
やっぱりお腹は空いていたみたい。

だけど食べながらも時々、腫れた目からは涙が溢れてくる。


私はただただ、名前の背中をさすることしかできなかった…。

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