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名前「ひょええ、すっごー……」
妖しげな光を放つ煌びやかな建物を見て、私は思わず感嘆の声を漏らした。
永倉「おお、わかるか!ここの素晴らしさが……!」
名前「わかるぜ新八っつぁん……美女の匂いがプンプンするぜ!!!」
藤堂「……お前実は本当に男なんじゃねぇの」
原田「おいおい、早く入ろうぜ。時間がもったいねぇ」
名前「はーい!」
私は元気よく返事をして、るんたるんたとスキップしながら3人に続いて足を踏み入れる。
君菊「あら、だんはん方。おいでやす」
藤堂「君菊さん!」
永倉「相変わらずべっぴんさんだなぁ!」
やべぇいきなり君菊さんに遭遇した!!
私の美女センサーは正しかった!!!
私がまじまじと君菊さんを眺めていると、目が合った。
名前「あ、こんばんは」
君菊「あら、あんさんどこかで……」
名前「えっ?……あの、この間千姫の迎えにいらっしゃってましたよね?私、千姫の友達なんです」
君菊「ああ、あの時の!」
私のことを思い出してくれたみたい、嬉しいグフフ。
すると君菊さんは私に近づいてきて、じっと私の顔を見つめた。
名前「……あの、すんません、そんなに見つめられると照れます」
君菊「……あんさん、お綺麗どすなぁ」
名前「えっ、褒められた!左之さん大変だ私美女に褒められたよ!」
原田「よかったじゃねぇか」
こんな美女に褒められるとか私意外と美人なんじゃね!? (気の迷い)
だけど、
君菊「……あんさん、ちょいとこちらに来とぉくれやす」
名前「うぇ!?何で!?」
私は突然君菊さんに腕を引っ張られた。
そのままズルズルとどこかへ引きずられて行く。
君菊「だんはん方はいつもの部屋で待っとってくださいな」
永倉「おう!待ってるぜ!!」
名前「ちょ、ちょっと待って!助けて!?(涙)」
藤堂「暴れんなよー」
名前「ねぇー!!(涙)」
……抵抗もむなしく、私は店の奥へと連れて行かれた。
一体何をされるのかと不安に思っていたけど、
名前「えっ、何これ…!」
目の前にあるのは、数え切れないほどのたくさんの料理。
君菊「どうぞお好きなだけ食べとぉくれやす」
名前「えっ、いいんですか!!そんじゃ遠慮なくいただきまーす!!!」
見たことのないようなたくさんの豪華な料理を、私は片っ端から片付ける。
……そして10分後には、約3分の2のお皿が空っぽになっていた。
名前「ふー食った食った! さすがにもうお腹いっぱいです、ごちそうさまでした!」
君菊「そらよかったどす」
君菊さんは妖艶な微笑みを浮かべていた。
その顔を見て、私は少しギクリとする。
名前「……あの、君菊さん。ここのご飯っておいくらですか……?」
やべぇ下手したら左之さん達の分まで食べてしまったかもしれない。
さすがにそれは申し訳ない!
恐る恐る君菊さんに聞いてみると、君菊さんはニコリと微笑む。
君菊「心配しいひんでも、お代はいただきまへん」
名前「えっ、うそ! こんなに食べちゃったのに!?」
なんつー気前のいい店なんだ!!
と、私が感動していると、君菊さんはまたもや妖艶な笑みを浮かべる。
君菊「……その代わり、あんさんに頼みたいことがあるんどす」
名前「………………へ?」
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