桜恋録 | ナノ


3


襟巻き探しの旅でまず初めに会ったのは沖田さん。



名前「あ、沖田さん!」

沖田「名前ちゃんじゃない、また土方さんの所に怒られに行くの?」

名前「今日は違いますぅー。ね、何か白い布持ってない?長めのやつ!」

沖田「白い布……?」



沖田さんは少し考え込むと、何かを閃いたような顔になった。



沖田「あるよ」

名前「え、本当に!?」

沖田「僕の部屋においでよ」

名前「やった、ありがとう!」



まさか一発目からビンゴとは!今日はツイてるね!

…………と、思ったんだけど。



名前「ぎぃぃいぃやああああああっっっ!!!???」



数分後、屯所中に私の悲鳴が響いた。



沖田「ちょっと、うるさいんだけど。何?」

名前「何?じゃないよ!!な、な、なんで着物脱いでっ、!?」



あろうことか、沖田さんは部屋に入った途端いきなり着物を脱ぎ出したのだ。

目の前には、沖田さんの引き締まった上半身が……。

悲鳴を上げたおかげで、ギリギリ上半身だけでストップできた。



名前「って、股引に手をかけるな!それ以上脱ぐな!!」

沖田「白い布が欲しいって言ったのは名前ちゃんじゃない」

名前「言ったけども!なんで!?なんで脱ぐの!?」



何このサービスショット!?

嬉しいか嬉しくないかと言われたら嬉しいけども、さすがに刺激が強すぎる!!!
私にはまだ早い!!!



沖田「まだわからないの?長い布って言ったら褌しかないってこと」

名前「だったらそれを口で言え!!!」



顔を真っ赤にして怒鳴る私を見て、沖田さんはケラケラと笑い出した。

くっっっそ、笑うとめちゃくちゃかっこいいのが腹立つ!!!



沖田「だって名前ちゃん、こういうの好きでしょ?期待した?」

名前「なんでだよ!!」



こいつ、私を何だと思ってんだ!!

変態みたいに言いやがって!!!(あながち間違いではないけども)



名前「千鶴だったらこんなことしないくせに!!」

沖田「千鶴ちゃんは女の子だからね」

名前「私が女じゃないってかコノヤロー」



マジで最低だこの男、こんな純情な乙女になんてことするんだ!!



沖田「あれ、どこ行くの?」

名前「布探しに行くの!あんたに期待した私が馬鹿だったわ!!」



私は吐き捨てるようにそう言って部屋を出る。

すると何故か沖田さんもついてきた。



名前「………なに」

沖田「そんなに怒らないでよ。面白そうだから僕も手伝ってあげようと思って」

名前「あんたへの信頼はさっきので全て消え失せてるわ」

沖田「えー残念だなぁ、せっかく近藤さんに聞いてあげようと思ったのに」



……ピクリ、とその言葉に反応した。

何だかんだで私は、目的のために手段を選ばない人間らしい。

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