桜恋録 | ナノ


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名前「ね、千鶴!私ね、一君のモノマネ練習したの!ちょっと聞いて!」

千鶴「ものまね……?」

名前「そう!一君の真似!」



キョトンとして首を傾げる千鶴が可愛い。

練習の成果を見せてやるぜ!!!



名前「"獣の世界で他者の食事を邪魔したら、食い殺されても文句は言えぬぞ "」

千鶴「えっ!?」

名前「" ついでに言うならばこれは俺の好物だ、決して手を出すな "」

千鶴「す、すごい!似てる!!」

名前「本当!?」



千鶴が大きな目をさらに見開いて顔を輝かせている。

……最近思うんだけど、千鶴ってめちゃくちゃ 一君のこと好きだよなぁ。



千鶴「名前ってすごく芸達者だよね」

名前「え、そうかなぁ」

千鶴 「うん!すごく似てたよ、斎藤さんに」



実は私、モノマネも得意だったりする。

声自体を似せるのはさすがに無理だけど、その人の喋る速さとか口癖とかトーンとか、そういうのを見つけて真似するのが得意なんだ。

……うーん、でも、この一君のモノマネには何かが足りてないんだよな……。



名前「……わかった、襟巻きだ!!!」

千鶴「えっ!?」



そうじゃん、一君と言ったら襟巻きじゃん!!

和服姿で襟巻きの無い一君はそれはもう一君じゃないよ!(失礼)



名前「ね、千鶴!何か白い布ない?長めのやつ」

千鶴「白い布……は、ちょっと無いかなぁ……」

名前「うーん、そっか………」



………よし!!そうと決まれば!!



名前「ちょっと布探しの旅に行ってくるね!!」

千鶴「う、うん!行ってらっしゃい」



千鶴は戸惑いながらも見送ってくれた。

よーし、一君が帰ってくるまでに探すぞ!

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