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名前「……じゃあ、一君って呼んでもいいかな」
もしそうだとしたら、ちゃんと伝えなきゃいけない。
斎藤「……そうしてほしい。……俺も、名前と呼んでもよいだろうか?」
名前「もちろん!!」
だって私は、
みんなと同じくらい、
名前「 ──── 私は、一君が大好きだよ」
一君が少し驚いたように私を見た。
私はニッと笑ってみせる。
……だけどよく考えてみると、半分告白してるみたいで。
斎藤「……? あんたも顔が赤いな、具合が悪いのか?」
名前「!!? あああ、こっ、これは何でもないから!元からだから!!」
斎藤「そうか……?」
名前「……さ、さっきのはアレだからね、仲間としてってことだからね!!」
斎藤「……さっきの……? 何のことだ?」
名前「えっ、うそ。また聞いてなかったの!?そこ聞いてなかったの!?」
さっきのビックリした顔何だったの!?
……まあ、変な勘違いをされてないならそれでいい。
名前「……そ、そうだ!さっきの昆布で出汁取って、お味噌汁作ってみようかなー! それに、一君の大好きなお豆腐もご近所さんからもらったんだよ!そ、そうと決まれば作って来なきゃ!!」
何だかその場にいるのが恥ずかしくて、無理やり口実を作って部屋を出ようと立ち上がる。
……だけど、
──── ガシッ……
名前「……へ?」
手を、掴まれた。
そして、
斎藤「……行くな。ここに、居てくれ…」
名前「 ──── っっっ!!?」
うわぁ……
さすがにそれは、反則だよ一君……。
私は、力が抜けたようにヘナヘナとその場に座り込んだ…。
斎藤「……あんたは炊事などできぬだろう」
名前「いや失礼な!!味噌汁くらいもう作れるよ、左之さんに教わったもん!!」
さすが一君。
さっきまでの雰囲気はなんだったのだろう……。
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