桜恋録 | ナノ


5


名前「……じゃあ、一君って呼んでもいいかな」



もしそうだとしたら、ちゃんと伝えなきゃいけない。



斎藤「……そうしてほしい。……俺も、名前と呼んでもよいだろうか?」

名前「もちろん!!」



だって私は、
みんなと同じくらい、



名前「 ──── 私は、一君が大好きだよ」



一君が少し驚いたように私を見た。
私はニッと笑ってみせる。

……だけどよく考えてみると、半分告白してるみたいで。



斎藤「……? あんたも顔が赤いな、具合が悪いのか?」

名前「!!? あああ、こっ、これは何でもないから!元からだから!!」

斎藤「そうか……?」

名前「……さ、さっきのはアレだからね、仲間としてってことだからね!!」

斎藤「……さっきの……? 何のことだ?」

名前「えっ、うそ。また聞いてなかったの!?そこ聞いてなかったの!?」



さっきのビックリした顔何だったの!?

……まあ、変な勘違いをされてないならそれでいい。



名前「……そ、そうだ!さっきの昆布で出汁取って、お味噌汁作ってみようかなー! それに、一君の大好きなお豆腐もご近所さんからもらったんだよ!そ、そうと決まれば作って来なきゃ!!」



何だかその場にいるのが恥ずかしくて、無理やり口実を作って部屋を出ようと立ち上がる。

……だけど、


──── ガシッ……



名前「……へ?」



手を、掴まれた。

そして、



斎藤「……行くな。ここに、居てくれ…」

名前「 ──── っっっ!!?」



うわぁ……
さすがにそれは、反則だよ一君……。

私は、力が抜けたようにヘナヘナとその場に座り込んだ…。







斎藤「……あんたは炊事などできぬだろう」

名前「いや失礼な!!味噌汁くらいもう作れるよ、左之さんに教わったもん!!」



さすが一君。

さっきまでの雰囲気はなんだったのだろう……。

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