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名前「いや、なんというか……斎藤さんを名前で呼ぶのは、その……恐れ多いというか……」
斎藤「……それは……俺が以前、あんたに刀を向けたからか……?」
名前「え……?」
" 斎藤「何故俺の名を知っている」"
……そういえば、そんなこともあったなぁ。
出会って早々に私が斎藤さんの名前を口走っちゃって、捕まっちゃったんだっけ。
もう半年ほど前の出来事だ、時の流れは早いなぁ。
名前「え、もしかして……あの時のこと、ずっと気にしてたんですか?」
斎藤「……」
斎藤さんは、ふい、と目を逸らした。
……どうやら図星みたいだ。
斎藤「……俺は……あんたを疑っていたのだ。間者なのではないか、と……」
名前「ですよね……」
それはしょうがない。
未来から来ただのわけのわからないことを話した挙句、自分達の名前まで知っているようならば、当然そいつを警戒するだろう。
斎藤「……だが、この数ヶ月でよくわかったのだ。あんたは間者などではない。そもそもそんな器用なことがあんたに出来るはずもない、と……」
名前「……ん?今私貶されました?」
斎藤「貶してなどいない。……俺は、あんたを信じている。だからこそ、気になるのだ……。何故あんたと俺の間には壁があるのか、と…」
名前「お、おお……」
ね、熱ってすげぇ………( ゚д゚)
こんなに素直に喋るようになっちゃうのか……。
だけどこれは……。
斎藤さんとお近付きになるチャンスでは!?
名前「違いますよ、斎藤さん。あの時のことなんて、私全然恨んでません。あの時の私は明らかに怪しかったし」
斎藤「……ならば何故、俺を避けるのだ……」
名前「避けてなんかいないですよ!恐れ多いっていうのは、その……斎藤さんはなんでも出来るすごい人で、私にとってはいろいろ教えてくれる師匠って感じなんです。だから友達感覚の平助とは全然違う感じだし、全然避けてなんて……」
どうやら私の態度が、斎藤さんに『壁』を感じさせてしまっていたらしい。
……全然避けてなんていないのに。
あなたは私の推しメンなのに!!!←
斎藤「……俺は、あんたにそう言ってもらえるようなたいそうな人間ではない。俺は、あんたと対等にいたいのだ」
……もしかして、いつもこうやって気にしてたのかな。
平助達と楽しそうに話している私を見て、何故自分には笑いかけてくれないのかと不安になってたのかもしれない。
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